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経営視点による情報活用戦略

経営視点による情報活用戦略(その6)

 

「コモディティ市場で過当競争を続けている業界にある企業はどうすれば生き延びることができ、しかも高収益の体質に転換できるのだろうか。」

 

この課題に対する戦略的な対応の一つが、欧米のグローバル企業との資本・業務提携であるとして、日産自動車とルノーおよびスズキとフォルクスワーゲンの戦略的アライアンスを見てきた。

 

食品業界でスズキと同様の戦略を実現したのがカルビーだ。カルビーは2009年6月に世界的な食品飲料企業のペプシコ(PepsiCo Inc)と戦略提携を締結した。提携の中身は次のとおりであった。

・ ペプシコはカルビーの株式を20%所有する

・ ペプシコはカルビーに非常勤取締役を派遣する

・ カルビーはペプシコの日本法人であるジャパン・フリトレ-を買収し、カルビーの100%子会社とする

・ カルビーはペプシコ・ブランドのスナック食品の日本での拡販に協力する

・ 両社は商品開発、原料ポテトの品種開発などの分野での幅広い技術協力を実施する

 

ペプシコ社はペプシ・コーラ、レイズ、ドリトス等飲料や食品分野での世界的ブランドを持ってグローバル・マーケットで事業展開を行っており、2009年度の売上高は432億ドル、営業利益は78億ドルに達している。

 

ペプシコ社の売上高の地域別の内訳は、北米58%、中南米13%、ヨーロッパ16%、中近東とアジアで合わせて13%という構成比になっている。グローバル化したとはいえ、ペプシコ社の売上高の北米比率は58%とかなり高い。同業のコカコーラ社の売上高の北米比率が25%であるのに比べるとペプシコ社のグローバル化はまだまだこれからという印象が否めない状態である。

 

とくにアジアの比率が低位である。なかでもペプシコは日本市場の攻略に成功しているとは言い難い。とくにスナック食品の市場でペプシコの市場占有率は2~3%でしかないという数字に表されているとおり、日本市場でのペプシコのプレゼンスの低さはかなり顕著だ。飲料部門でもペプシコはサントリー社と戦略的な提携を実現して、事業運営を全面的に委ねている。ペプシコにとって日本はいわば失敗の市場なのだ。

 

したがってカルビーと戦略的な提携を実現して、ペプシコの日本での食品事業をカルビーに委ねることは、ペプシコにとって永年の懸案を克服し、日本での存在感の獲得に向けて大きな橋頭保を築くことに他ならない。さらにはカルビーとの連携でアジア市場を本格的に攻略することに向けての基盤を形成することにもつながるわけだ。

 

カルビーにとってこの提携は大きく四つの意味を持つといえる。一つは日本でのスナック食品市場における基盤の更なる強化である。カルビーの強みはポテト系スナック(ポテト・チップス、じゃがりこ、Jagabee)と小麦系スナック(かっぱえびせん、さっぽろポテトなど)にあるが、ペプシコ社が持つコーン系スナック(ドリトス、チートス、マイク・ポップコーンなど)を補強することによって、製品ポートフォリオで完璧な構えが実現する。

 

二つ目の意味はカルビーのグローバル・マーケットでの事業展開に向けた選択肢の拡大だ。カルビーは小麦系スナック、ポテト系スナックにおいて世界商品ともいうべき個性的な商品を数多く開発してきている。それらの商品を欧米で展開するとして、ペプシコの強力な販売ネットワークを活用出来れば、きわめて効果的な資源を手にする事が出来る。またペプシコが必ずしも強いとはいえないアジア市場の開発において、カルビー・ペプシコ連合が可能になれば大きなシナジーを生むことになるだろう。

 

三つ目の意味は、ペプシコ社の持つポテトの品種開発や栽培技術にかかわる強力なパワーの支援を受けることだ。これによってポテトの品質と価格競争力を国際標準の水準に高め、カルビーのポテト系スナックの品質とコストをグローバル・マーケットで競争可能な水準にまで高めることが可能になる。

 

四つ目の意味はカルビーが将来株式上場を果たす時が来るとして、限りなく大きく見積もってもたかだか時価総額1,000億円の企業に過ぎず、またブランド力と商品開発力に大いなる魅力を有するがゆえに、他社からのM&Aの脅威を上場した時点から受けざるを得ない。ペプシコ社の連結対象会社の位置づけはその脅威を取り除く有効な手立てとなるに違いない。

 

スズキとカルビーに共通にみられることは、日本企業の独特の経営方法や製品開発力のレゾンデートルを最大限活かしながら、なおかつグローバルの外部資源を活用するために資本提携を前提とする戦略アライアンスに踏み込んだということだ。

 

グローバルな外部資源の活用についての検討をこれくらいにして、日本企業が成熟した市場で生き抜いていくためにとるべき第二の方法を次に見ていこう。(続く)

 

■     twitter:http://twitter.com/gyzmomzyg

■     中田康雄事務所:nakatayasuo.office@gmail.com

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