「コモディティ市場で過当競争を続けている業界にある企業はどうすれば生き延びることができ、しかも高収益の体質に転換できるのだろうか。」
この課題に対する戦略的な対応は二つある。一つは高付加価値製品およびサービスの創出であり、もう一つは徹底した価格競争力の拡充である。そのための方法論も二つで、一つは個客対応であり、もう一つはグローバルな規模での外部資源の活用である。このグローバル規模での外部資源の活用の具体的な姿として、日産、スズキ、カルビーなどグローバル企業との戦略提携の事例を見てきた。
続いて、グローバル規模での外部資源の活用のもう一つのあり方を考えてみたい。それは同じ事業領域のなかで熾烈な過当競争を繰り広げている企業群が、徹底したコスト削減を目的に合従連携することだ。つまり高付加価値製品およびサービスの創出という局面ではそれぞれが独自性を発揮してしのぎを削りながら、コスト構造の革新の分野では連携しあって、個別企業単位では実現できない水準での大きな成果を生み出して、それを享受し、グローバル競争での圧倒的な価格優位性を獲得しようとするものだ。
競争しあう企業群が連携してコスト削減を目指す場合、その対象領域はいくつか考えられる。原材料など調達の領域、情報システムの領域、人事・経理・法務などのアドミニストレーション業務の領域、コールセンター業務の領域、物流業務の領域などがそれだ。これらの領域のどの部分を対象領域にするかは、それが事業戦略上のコア部分であるのか、非コア部分であるのかによって判断すればよい。どの領域がコア部分か、非コア部分化は事業ドメインによっても異なることは言うまでもない。
例えばe-コマースの事業領域においては情報システムの領域は明らかにコア部分であり、競争力の源泉であるが、家電メーカーの場合情報システムの領域は必ずしもコア部分ではありえない。
非コアの業務領域を外部に出すというのは、BPOと発想は同根だ。ただし競争企業間の合従連携は必ずしもアウトソーシングを意味しない。企業間で資源を持ち寄って共通の業務プロセスを構築して、これを利用しあうということが出発点だ。各企業が独自の業務プロセスを外出しして、利用するという意味では内部の外部化であり、個別企業の内部の共通化であるといえる。共通化した上でならその業務プロセスをアウトソーシングすることは可能になるだろう。
これまでもコスト削減並びにサービス力強化を目的に個別企業はアウトソーシングによって内部の業務領域の外部化を進めてきた。物流業務のアウトソーシングはその典型かもしれない。物流は非コア業務であり、外部化して専門家にゆだねた方がサービスは向上するし、コストも下がるということで物流業務の外部化は進んでいる。特に宅配便の普及はこの流れに大きな推進力になっている。
しかし一概に物流といっても、対象となる商品によってその姿は大きく異なる。スナック菓子は単位体積当たりの重量は軽いが、かさばり、しかも重量あたりの単価が安い。それに比べてガムやチョコレートなどはコンパクトで重量当たりの単価ははるかに高い。ということは同じお菓子業界でも、スナック菓子とガム・チョコレート菓子とは物流業務のあり方に大きな差異が工夫されて初めて最適なものになる筈だ。しかしながらアウトソーシングといっても受ける物流業者は別にそれらの商品に専門化されているわけではない。
となるとスナック食品のメーカーが物流業務を外部化してもそれだけで大きなコストダウンの効果は得られない。むしろスナック食品企業群が連携して物流業務を外部化し、そのうえで業務を共通化して、それを共通の物流プラットフォームとして利用することによって初めて大きなサービス改革とコストダウンが実現する。
すなわちスナック菓子業界の企業群が合従連携して物流業務を外部化し、業務の共通化を施し、共通化した物流プラットフォームを活用してサービス水準の革新と徹底したコストダウンを図るという意味で、スナック菓子業界物流プラットフォームともいうべき革新を目指そうということなのだ。
ここでサービス水準の革新とあるが、メーカーから出荷された製品は特約店に向けて出荷されるが、荷受け側の特約店にとっては一台の配送トラックに各社の製品が混載されて到着するので、現状ではメーカー各社から日に数台の荷受けをしているものが、スナック業界物流プラットフォームが構築されることで、荷受けの業務が日に一回で済むことになるという大きな効率化が実現するのである。
ところで情報システムの業界プラットフォーム化はどんな様相を呈することになうのだろうか。次にそれを考えてみよう。(続く)
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