21世紀に登場したモチベーション理論は「統制と抑圧」から「自由と自律」への転換を勧めている。トップマネジメントはミドルマネジメントに対するコントロールの機能を放棄し、もっぱらビジョンと戦略を提示することとコーチングの機能に徹し、ミドルマネジメントの自律を支援することが求められている。
簡単にいえばミドルマネジメント自身がトップの示したビジョンと戦略を前提に、自分の組織の置かれた環境を分析した上で、経営目標を設定し、目標達成のための戦略を練り、部下のモチベーションをあげ、ベクトルを合わせて実現していくという姿だ。これを図示すると第1図のようになる。
ここで「コーポレート」はトップマネジメントの領域であり、「現場」は分権化されたビジネスユニットであって、具体的には事業部であったり、工場であったり、支店であったり、業績責任を負う自律したマネジメント単位である。したがってビジネスユニットは、ミドルマネジメントの領域を意味している。
トップはビジョンを示し、ビジョンを実現するための企業戦略を策定する。企業戦略は経営計画へと落し込まれることになる。経営計画は3年から5年の期間を対象とする中期経営計画、1年間を対象とする年度経営計画、半期を対象とする半期経営計画など、対象とする期間によってそれぞれ策定される。
ここで大事なことはこれらの経営計画が、企業戦略と連動していることが前提条件であり、また年度計画は中期計画と連動し、半期計画は年度計画と連動していることが前提となる。この連動、連携をいかに担保するかは結構なおざりにされることが多く、中期計画はさすがに企業戦略の実現プロセスとして描かれることは多いものの、せっかく策定された中期計画も時の経過とともに埃にまみれて、年度計画策定時にはまったく顧みられないことがよく見られる。
企業戦略と経営計画とが連動しない理由は二つ考えられる。一つは戦略マネジメントシステムが機能していないことである。二つ目は、戦略実現のプロセス、手順、あるいは工程表が明確になっていないことがあげられる。
戦略マネジメントシステムとは戦略の実現状況を適時チェックし、適切なアクションをとるためのマネジメントサイクルのことに他ならない。つまり戦略実現のためのPDCAサイクルということだ。戦略PDCAサイクルが機能していれば、環境変化に対応して、あるいは企業内部の状況変化に対応して、適切な戦略の見直し、変更が加えられ、それが経営計画に適時反映されることになる。
さらにまた企業戦略の実現状況が適時、適切にチェック出来ない背景には、チェックの方法が定まっていないことがあげられる。チェックのためには戦略の達成をどのような指標(KPI:Key Performance Indicator)で測定するかということが明確になっていることと、KPIによる目標設定が行われていなければならない。
本来経営計画は企業戦略の実現プロセスを明示化したものである。とすれば企業戦略と経営計画が連動しないはずはないのだが、連動していないとすれば戦略の実現プロセスが設計されていないことを告白することに他ならない。戦略実現のプロセスは「戦略Map」によって可視化される。
次回は戦略Mapについて見ていこう。
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