経営コックピット(その6)
グラフを使って直観的でスピーディな現状把握ができないものだろうかという問いに対する回答として開発された「経営コックピット」について解説を続けよう。
今回は前年対比と計画対比の同時見える化について説明しよう。第26図を参照していただきたい。これは例えば売上高の前年対比と計画対比(予算対比)を同時に把握することを目的に作った数表だ。

これをグラフで表現する場合、第27図のように前年対比と計画対比のグラフを二つ作って並べることが一般的だ。

このような表現では一瞥して事態の推移を判読することはなかなか難しい。ということでグラフによる表示よりは数表に頼ることが多くなる。こうした難点を少しでも克服するために、実績と増減比率をグラフ化すればいいのではないかということで少し工夫を加えられたのが第28図である。
これで少しは直感的に事態を把握しやすくなったが、これでも前年対比や計画対比の差額の絶対額が分かりずらいという難点がある。この難点を克服し理想形に近づこうとして開発されたのが第29図になる。
ここでは計画対比は月別については棒グラフで表現し、累計は折れ線グラフで表現されている。同時に計前年対比は累計での表現だけではあるが、折れ線で見える化されている。これによって計画が昨年実績に対して累計で2,000増加する意図を持っていることが明示され、同時に実績は6月以降累積で前年を上回り始め、9月になって漸く計画線上に乗り始めた様子が容易に見て取れる。
もちろん月単位の前年対比が見たければ、計画対比ではなく前年対比で月次の増減をみればいいということになる。こうしてこのやりかたでは月ごとに前年対比で増減を見るのか、計画対比で増減をみるかはあらかじめ選択しておかなければならない。通常は計画対比が用いられることになるだろう。
以上6回にわたって「経営コックピット」による経営の見える化の方法を示してきた。BSC方式で組み立てられた経営戦略の実現状況の進捗管理、つまりPDCAサイクルにおけるチェックとアクションが、この見える化によって効率的かつ効果的に実現されることが理解いただけたと思われる。
こうした実態把握の支援プログラムをビジネスユニットのマネジャーやメンバーに適切に提供することによって、BUのマネジメントが自律的に展開されていくことになるのだ。マネジャーは刻々と変化する状況についての測定やデータの加工にかかわって無駄な時間を取られることなく、適時に状況の把握を行って、変化する環境に対する打ち手の検討に多くの時間を割くことができるようになるわけだ。
同時にこのシステムは現場からトップまでが同時に情報を共有し、その状況把握を前提にして効果的な対話や議論が進められるという状況を作り出し、その意味でマネジメントの強力な武器を組織全体にあたえることになる。
かくして経営コックピットは戦略実現に不可欠の経営ツールとしての位置を与えられることになる。
なおカルビー株式会社の「経営コックピット」を開発・活用支援したITパートナーであるインフォテクノスコンサルティング株式会社および株式会社T4Cがカルビーで活用されている「経営コックピット」を他の組織でも簡便に実現することを目指して、エンジン部分をパッケージとして造り込み、付加部分はイージー・オーダー型のシステムとして提供するサービスを開発している。このソフトを導入すればここで述べてきた経営の見えるかがきわめて手軽に、安価に、しかもスピーディに実現できることをお伝えしておく。これに関するお問い合わせは以下にお願いしたい。
株式会社T4C(ティーフォーシー)
TEL : 03-3769-0291
E-mail : sales-info@t4c.co.jp 担当:澤井
これまで6ヶ月にわたって「経営とIT」をめぐる私の関心事を開示してきた。この連載は今回を持って一応の区切りをつけることにしたい。また別の機会をとらえて皆さんに著者の考えを開示してまいりたい。長期にわたっておつきあいいただいたことに深く感謝して擱筆したい。
※ ミドルマネジメントへの情報支援シリーズに関しては、T4Cのホームページ、「「経営」×「IT」入門講座」にも掲載しております。PDFでの保存、印刷用はこちらをご利用ください。
http://www.t4c.co.jp/cockpit/rosic3.html
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