スキルの構造
まず知識とスキルの違いは次のようになります。
●知識
仕事でパフォーマンスを発揮するための前提
●スキル
知識を使って仕事などでパフォーマンスを発揮する能力
ただし、応用力が利く能力(利かない能力はテクニック)
さらにハーバード大学のロバート・カッツ教授によると、スキルは次の構造に分類されます。
●専門能力
仕事をする上で、前提として持っていないといけないスキル
●ヒューマンスキル(人間理解能力)
仕事で成果を出すための実行力
●コンセプチュアルスキル(概念化能力)
他者のレベルに合わせて物事を概念化・抽象化するスキル
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IT系の場合、ITスキルが専門能力に当たります。また、概念化能力を分かりやすく説明すると、例えば仕事内容について部下に指示する場合と、家に帰って何も知らない家族にその内容を話すのとでは全く異なり、分かりやすい内容にしたり、例え話など用意することになるでしょう。このように相手のレベルに合わせて分かりやすいように概念化する能力をコンセプチュアルスキルと言います。
専門能力やコンセプチュアルスキルは、あくまで仕事をするための前提スキルですが、ヒューマンスキルは、それらを使って遂行し成果を出すためのスキルと位置づけることができるでしょう。
一般的にはヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルを合わせてコンピテンシーと呼ばれます。専門能力だけがあっても仕事で成果は出ません。これらヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルは、仕事を進める上だけでなく、人格形成上とても大切な要素となります。
ヒューマンスキル(人間理解力)
仕事は人を通して展開されます。したがってヒューマンスキルは重要であり、立場や役割が変化してもその重要度は変わりません。キャリア開発の実践時の鍵であるとも言えます。
次に列挙してあるのは、ヒューマンスキルの代表的なものです。
●コミュニケーション・スキル
アクティブリスニング(受信)、アサーション(発信)
上司が私を分かってくれない ← 上司に分かるように伝えたか
(伝えたこと/伝わったことの違い)
●プレゼンテーション・スキル
●ネゴシエーション・スキル
●アサーション・スキル
●リーダーシップ・スキル
●コーチング・スキル
●カウンセリング・スキル
●人脈形成力
●人脈活用力
●対人影響力
●人材活用力
●関係構築力
●人材育成力
●ファシリテイト、コーディネイト力
コンセプチュアルスキル(概念化能力))
具体的なものを抽象化する能力であり、1を聞いて10を知る洞察力もこの一つです。抽象的・概念的な話を聞くと何のことか分からず混乱してしまうのは、この能力が不足していることになります。また、他の職場で通用しない、他の会社で通用しないのが、典型的なコンセプチュアルスキル不足の人材だと言えます。
●戦略的思考力
●情報感度
●情報収集力
●発信力
●全体把握力
●状況把握力
●将来予想力
●将来予備力
●構想力
●先見性
●確実性
●具現化力
●戦略具現化力
●戦略立案力
●計画立案力
●課題認識力
●課題把握力
●課題設定力
●行動力
●推進力
●洞察力
●創造力
●発想力
●探求力
●探索力
●解決力
●統括力(広範囲にコントロールする力)
●判断・意思決定力
●推進力(確実さ)
●推進力(力強さ)
このように分類されたものを一つひとつ見ていくと、自分に何ができて何が不足しているかが明らかになります。他者を指導する場合も同様で、このような観点は大変有用であり、見える化の第一歩となる考え方です。
人材に関する要件について
さらに別の観点で話しましょう。著名な心理学者、及び人材開発に関わる方々の見解によると、人材に関する要件は以下の3層に分かれます。
●第1層
自分が相手にこれだけのことをすれば、必ず相手もこれだけのことを返してくれると信じる感情(心理学ではベーシックトラストと呼ばれる)
就職するまでに固まり幼児期の体験で決まる、元来変えられないもの。
●第2層
思考特性や行動特性を表し、<好奇心→チャレンジ→認知>のサイクルのことである。このサイクルがうまくいかないことが続くと、チャレンジを避けるようになる。
30〜35歳のビジネスマンの最初の10年で固まり、以後変えにくい。
●第3層
経験や知識で蓄積されて行く特定分野の具体的能力、知識やノウハウなど。
この内容で考えると、本来重要なのは第2階層であり、言い換えると自分自身の中でPDCAをまわせる人材を登用したり、育成するというのがあるべき姿です。ところが、一般的には第3層だけを見て採用(人材調達)や評価をしているケースが多いように見えます。好奇心やチャレンジ精神が旺盛な人は、第 3層の特定分野の知識やノウハウを自分自身でキャッチアップして行く能力を持ちます。
それにかかる時間だけの問題なのです。ユニクロのファーストリティリングは、採用の際に自分でPDCAをまわした経験を持つ人かどうかを確認し、その経験の無い人は選択基準から外れるという考え方を持っていると聞いています。
いかに第2層が優れている人を見分けるか、その能力を伸ばして行くような環境を作れるか、ということが「ビジネス目標の達成に貢献する」人材を育成する上で、企業にとって重要だということでしょう。
さまざまな視点からスキルを構造として組み立てていくと、仕事上どの程度のスキルが必要か、またそれを使って仕事で成果を出していくにはどのようなスキルが必要かが、論理的に見えてきます。ITサービスを提供する企業でも、ITサービスを受ける側でも構造は同じで、スキル表現や定義内容が違ってくるという風に捉えれば何がどこまで必要かが明確になります。
このような構造化は主流となっており、これからの企業の人材育成には欠かせない考え方となるでしょう。






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