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IT人材育成とCIOの役割

社員のパフォーマンスを最大化するには 〜その1 

 

企業の中で、社員のパフォーマンスを左右するファクターとして、処遇制度や評価は重要な位置を占めます。経営計画や事業計画に沿った「戦略」としての役目を果たしているかがポイントです。
まずは状況を理解するところから始めてみましょう。
 

○年功序列の崩壊と人材育成

 アメリカの場合は、職務等級制度という日本とは全く異なった考えを持って進んできました。誰にというよりポジションにお金を支払うという考え方です。これは人種問題という避けて通れない課題から出た考えだと言われています。
 それに対し、日本企業は年齢と共にポストが上がって行き、同時に報酬も上がって行く年功序列の考え方をベースに発展してきました。また、新幹線のグリーン車に乗れる、飛行機はビジネスクラスなどという上昇志向の考え方を前提にした人事制度をベースに、日本企業は成り立ってきたと言えます。したがって、何でもそつなくこなせる人材を一括大量採用してきた歴史があります。これは、勤続年数を軸にして待遇(権限、報酬)が上がるという論理の上に成り立っていました。
 住宅を購入するときも、ほとんどの方がこの考えをベースにローンを組んでいたでしょう。ところが、組織が一定の成長を維持するということによって年功序列が成り立っていた状態から変化し、成長が鈍化し定期昇給も無くなり、さらにポスト不足の状況に陥って、30代なかばで報酬が上がらなくなるという現実に直面しています。一方で、現在は上昇指向で競争を望む人は少ない状況ですが、このような上昇指向をベースとした制度、キャリアパスがまだまだ多い現状だと言えるでしょう。
 これでは今までのように、「いずれはこうできる」という感覚が喪失し、将来に対して夢も希望もない状態になってしまいます。年功序列の前提のままレールに乗れればいいという考えだけで、安定志向で有名企業を希望するという若者が多く、企業と個人のミスマッチが目立っているという状況も見て取れます。さらに企業自体が成長するどころか、リストラをしなければいけない状況に陥った側面もあり、上司が部下を育成するより自分の身を案じなければならないという現実もありました。


 この環境で多くの企業は、正社員を雇用するより派遣社員を使う方がコスト面・管理面で有利だと判断したようです。必要な時だけお金を払って雇えばいい、不要になればすぐ切れる、という考えがあるのは明らかです。雇われた側も、決められた範囲のことだけをやればいいという考えになってしまっても致し方ないでしょう。さらに範囲外に手を出そうにも制限が多く難しいということもあります。残念ですが、この構図の中に「人を育成する」という基本的思想や責任感を見出すことはできません。
 

○成果主義と能力主義

「うちは処遇制度としてMBOを使っている」という一見成果主義をうたっている企業は大変多いと言えます。MBOとは「Management By Objectives」の略ですが、本来は後ろに「and/thru Self Control」が付くのをご存知でしょうか?
また、MBOとは「期初に年間目標を出して、期末にできたかどうかの達成率で評価すること」とだけ考えている方はいないでしょうか?
 キャリアデザインとは、将来自分がどうなりたいかを思い描き、そのために何をしていけばいいかを計画実行していくことです。PDCAを廻していかなければなりません。その中の一番短期のサイクルとして、MBOを位置づける必要があります。1年1年で評価されて終わってしまうような途切れた考えではなくて、次の1年に、さらに次の1年に、また将来のキャリアにつながっていく必要があるのです。長い期間でキャリアデザインを考えるから、PDCAが描けます。1 年ごとのMBOでは、Plan-Do、Plan-Doの繰り返しにしかなりません。
 では、本来あるべき成果主義の考えとはどのようなものでしょうか。
先に述べたように、1年1年ぶつ切りになっているのではなく、将来のキャリアにつながる年間目標と、それに対するアクションが求められ評価されるわけですが、同時に上司によるフィードバックなどでの仕事の質のマネジメントと、質の理解を通じた次へのアクションが求められます。したがって、よくあるような目標達成だけの管理は、あまり意味がありません。また、数値だけではなく期待される成果、期待される役割を明らかにする必要があります。「成果主義≠結果主義」をよく認識する必要があるでしょう。
 しかしながら、フィードバックは役職が上になればなるほど、その機会が少なくなるのが一般的です。CIOにフィードバックする機会をほとんど持てない企業もあるようです。


 成果主義に対して、担当者の能力を処遇しようという考え方があります。これが能力主義と呼ばれています。能力に対してお金を払うという考えだと、社員は給与を上げるために能力上げることや、資格を取るためだけに努力してしまうことになってしまいます。周りを見渡してみると、案外そういうタイプの社員が多いことに気が付くでしょう。これは企業として正しく能力主義を理解できていないことが一因だと言えます。また、上昇指向をベースにして処遇に差をつけるということは、仕事の直接的なモチベーションにつながらないと思われます。金のためにだけ励むようになるということです。
 本来の能力主義は、チャンスを与えその貢献に報酬を与えるという考え方です。言い換えると、個人の内発的な動機を最大限生かせるように機会を与え、成果に報酬で報いるということです。自己実現のように内側にあるモチベーションを高め、いい仕事ができるか、尊敬できるかが重要なポイントでしょう。

〜その2に続く 

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