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IT人材育成とCIOの役割

IT人材育成にスキル標準「UISS」を有効活用する 〜その1「ITSS」とは

 

ユーザー企業IT部門向けのスキル標準「UISS」を語る上では、先行しているITスキル標準(ITSS)をしっかりと 理解することが重要です。なぜならUISSはITSSの考え方を基本としており、その欠点の多くを学習しながら策定されているからです。
 ITSSは、2002年12月に経済産業省から発表されています。 その1年ほど前から経済産業省主導で、学識経験者や大手ITベンダの代表者などで構成される検討委員会によって、以下のような内容で議論が重ねられました。
 
目的   : IT国際競争力を強化するため

課題   : IT関連サービスの提供に必要とされるスキルを的確に身に付けた、質の高いプロフェッショナルを効果的に育成することが急を要する課題
必要性 : ITサービス業においては、それぞれのサービスを提供する際に多様な職種が存在し、必要なスキルも専門化・深化しているため効果的な育成が困難な状況


 発表後、ITSSはその維持管理を財団法人情報処理推進機構(IPA)にゆだねられましたが、関係資料をサイトからダウンロードして印刷すると、800ページにも及ぶ膨大なものになっていました。さらに、その内容が「読みにくい・使いづらい・理解しにくい」という状態で、その理由は読み取り・解釈法の説明が不足していたり、定義内容が理解し難いということが上げられます。
 旧バージョンではスキル熟達度と達成度指標の両方をスキルだと誤解している方が多くいたようです。スキル熟達度は、仕事をするために必要なスキルを定義してあり、仕事で出した成果を評価するための指標が達成度指標です。また、職種・専門分野・レベルで表現されたキャリアフレームワークも、実態に合わないという意見が多かったのも事実です。
 その結果、正しく活用されておらず、浸透できていない状態が続きましたが、2006年4月に発表されたITSS V2によって、次のように大きく改善されました。
 

  • ●日本語文章の固まりのような旧バージョンから、目的毎に分類された構造体に大きく進化した
  • ●活用についてのITSSの位置づけが、明確に記載されている
  • ●構造化されたことからメンテナンスなど今後の効果的な運用が期待できる

 

 ただし、このように内容は改善されましたが、肝心のITサービス企業への普及という観点では、あまり芳しくないと言わざるをえません。もともとITSSは企業戦略を元にした人材の育成に主眼を置いたものですが、ITSSを活用しているといっている企業の多くは、以下のように少しずれた中途半端な状態になっています。
 

  • ●ITSSキャリアフレームワークの中のどこに何人位置づくかマッピングしているだけ
  • ●ITSSに基づいた研修ロードマップ作成を目的としている
  • ●人事制度にITSSキャリアフレームワークや定義体を、そのまま使っている

 

 自社のバリューを明確にすることは重要ですが、経営戦略に基づいた人材像を設定していない限り、現状把握をしてもTo Beが無いのにAs Isとのギャップは出ないということです。
 また、共通化された指標に基づいて研修メニューを用意しても、ビジネス目標を達成するために必要な人材が持つスキルを習得させる一環としてのトレーニング、という位置づけになりにくいということです。
 さらに人事制度に、ビジネスモデルも経営戦略も反映されていない共通指標をそのまま使うということも、同様に長続きはしないでしょう。

 

 これらの失敗例は、明らかに手段が目的になっていて、本来の人材育成に対する考えが欠落しているように思えます。そこには企業のビジョンや経営戦略は見えませんし、推進者の奥の深さや使命感、責任感、熱い思いを感じることはできません。このひとつでも欠ければ、社員の方々は敏感に感じ取り、賛同しないばかりか企業側からの押し付けだと受け取り、何の協力もしないことになってしまう危険性があります。


〜次回は、UISSの説明やITSSとの違い、活用方法に入っていきます。

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