「コンピテンシー」は、スキル標準の範囲外ということについて、当ジャーナル「スキルの捉え方」(2007/11/9)で取り上げました。
今回は、やはり希薄だと言われている経営者の視点について、「MOT」を取り上げながら考えてみます。
今回は、やはり希薄だと言われている経営者の視点について、「MOT」を取り上げながら考えてみます。
「MOT」とは
まず初めに、簡単に「MOT」について触れておきます。
「MOT」とは「Management Of Technology」の略で、技術を経営資源として戦略的に活用するために、「Technology」と「Management」の双方に精通した経営者による経営スタイルを指します。
1940年代にマサチューセッツ工科大学(MIT)で「MOT」コースが生まれたことが原点です。本格化したのは、1960年にNASA(米航空宇宙局) がアポロ宇宙計画関連の技術マネジメント研究のために、MITの「MOT」リサーチに予算を計上し、「MOT」の研究が始まってからです。
その後、1990年代に米国の産業競争力が再生した背景には、「MOT」を主眼とした人材育成があったからだと言われています。
日本では、90年代後半からのアジア諸国の脅威によって注目され始め、2003年以降企業と大学が連携して「MOT」人材の育成に向けて様々な取り組みが始まっているようです。
企業経営にIT戦略を最大限活用するためには、核となる技術をベースとして新たなビジネスを創造できる人材の育成、技術と経営の双方を理解し、事業として技術価値を最大化できる人材の育成が必要です。
「MOT」の重要さ
今日、確固たる位置の多くの企業は、技術者のトップの方が努力して、築いて来られたケースが多いと思います。私見ですが、今そのような企業がアジア勢など競合他社に抜き去られて、なかなか浮かび上がれない状況が目立っているように思います。ここ最近まで引っ張って来られたトップの方は、技術者出身ではありませんでした。それが全ての原因ではないと思いますが、進歩が激しい現状を考えると、技術的な視点で経営判断をするかしないかは、今後の激しい競争の中では、かなりのインパクトがあると考えられます。
スキル標準での経営視点は
スキル標準は、IT人材のマネジメントの効率化や、育成計画を策定するために有効なツールです。企業や対象エリアの弱み強みを可視化できるだけでなく、何処にどう投資すれば、経営にとって必要な人材を育成することになるかが明確になります。
従ってスキル標準導入においては、経営戦略が重要なファクターになります。ようやく最近になって多くの企業が、この視点からスタートしなければ、上手く導入できないということを理解され、様々な動きが出てきました。
これはまさに、スキル標準を使って「MOT」の視点で企業の実態について把握したり、人材戦略を立てマネジメントする、ということになります。
しかしながらスキル標準で定義されているのは、この経営者の視点ではなく、現場のIT人材の視点が主体になっています。従ってキャリアパスを設計する時も、現場でのトップをイメージできても、経営者への道は表現しにくいのです。
当初有識者たちが、スキル標準にはMOTの観点がないと批判していたのもうなずける話です。このギャップをどう埋めるかが、一つのハードルとなっていることは事実です。
スキル標準、とくにITSSの活用状況は、キャリアフレームワークにとらわれすぎる傾向が続き、自社の人材像を標準に合わすという奇妙な流れを是正することができないままでここまで来ていると言えます。人材調達ではなく育成の観点であるのに、自社のビジネスモデルや戦略を入れ込むことができない状態では、その取組み自体を企業として継続することが難しいのは、言うまでもありません。
「MOT」視点の考えを、スキル標準導入時に取り入れる
スキル標準は「MOT」の考え方が希薄で、それだけではCIOやCTOなど経営層への道は描けませんが、それでは片手落ちなので、内部にその考えを取り込むか、もしくは別のものを用意するか、何らかの手立てが必要です。しかも、ベースは共通化しておかないと使えないものになる危険性があるので、しっかりとした統制が必要です。
当ジャーナルで連載していた「IT人材育成にスキル標準:UISSを有効活用する」その1(2008/1/15)から11(2008/7/1)で、その手順について分かりやすく解説しています。是非ご覧ください。






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