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IT人材育成とCIOの役割

人を育成するということ 〜スキル標準を人材育成にどう活かすか

 

人を育成するということは企業の責任であり、使命だと言えます。IT関係の方なら誰でも知っているITSS、UISSを、最大限活かすということは、そんなに難しいことではありません。


人を造るということ


 筆者は、コンサルティング案件や講演依頼で地方に出かけることも多くあります。名古屋方面もその1つですが、名古屋と言えば世界のトヨタの存在を抜きにして語れません。トヨタは、多くの独自ルールを持っており、グループ会社の社員も含めて当たり前のように徹底して守っていると聞いています。


 たとえばドキュメント類は関係会社も含めて全て統一されているということです。これは、よほどの統制力が無い限り実現できない内容でしょう。また、社員に対しては広く業務改善などの提案を呼びかけています。改善案が採用されても、金銭的な見返りはさほど多くないようですが、社員の多くの方々が何件も常に考えているということです。その内容も自分が楽になるポイントだけではなく、あの部署の彼がこれで楽になる、という視点が入るそうです。


「人がモノを作るのだから、その人を作らないと意味が無い。」


 これは豊田最高顧問の言葉ですが、現在のIT産業を支える我々こそが、再認識しなければならないことではないでしょうか。


企業のビジネス目標に合ったスキル標準導入推進には何が必要か


 スキル標準に対する企業の認識は非常に高いものがあります。IPAによるITSS自体の改善活動やUISSの注目度の高さもあり、それが顕著に見え出しています。


 企業ごとに温度差はありますが、内容としては導入検討中、及び作業中の企業も多くあるようです。


 また、筆者から見て導入を終えて運用中の企業は、まだごく一部と言わざるをえません。導入済み、または活用中と自称している企業も、推進者の認識の違いで、現状と一致していない場合も目につきます。


 このような状況から、やはりスキル標準導入を推進する側の理解不足が目立っていると言えます。
たとえばITSS導入作業中の企業の推進者との次のような会話がありました。
 

Q:「ITSSの導入を進めようと一番初めに声を出されたのはどなたか?」
A:「情報はこちらからインプットしているが、最終的には経営層の決断である。」
Q:「導入を進められている現在、一番問題だと思われることは何か?」
A:「推進している我々の理解度の低さである。」
Q:「何故そう思うのか?」
A:「最初は理解できていると思っていたが、具体的なことになるとほとんどどうしていいか分からないことばかりだと気づいて、進捗がかんばしくない。」
Q:「どのような方法で勉強されているのか?」
A:「公に出されている大量の資料しかないので、無料のセミナーなどに申し込み、自分で勉強するしかない。」
Q:「どのようなセミナーか?」
A:「人材育成やスキル診断ツールなど教育ベンダなどの説明会のようなものだ。」
Q:「ITSSの理解につながったか?」
A:「当初、教えてもらうとおりでいいと思い、勧めにしたがって診断を実施したが、どうも自社の形態に合わないので、そのままになっている。」
Q:「次のアクションは、どのようにお考えか?」
A:「どのようにしていいか分からないのが実状である。」
Q:「では、コンサルタントなど外部の支援を受けるという考えは無いのか?」
A:「間接部門なので予算的に厳しい。成果を明確にしないと申請しても却下される。」

 未だにこれでは、うまく行くとは思えません。


 経営者が導入を決めたといっても、推進者にそのために動きやすい環境を与えていません。また、ITSSについてほとんど理解できていないことが容易に想像できます。


 企業の繁栄のために必要な人材を育成するということは、経営者にとって最も大きなミッションと言っても過言ではないはずです。
しかし、これではその役目を果たせていないと言わざるをえません。


 導入を推進する側も、自分たちは間接部門なので、困っていてもキャッシュアウトを発生させてまで進めることはできないと、頭から思っているように感じます。これでは両すくみで、いいものができる流れにはなりにくいでしょう。


 これらは、IT関係特有の悪評である「人の育成を考えてこなかった」ことの現れとも言えます。


 やはり、経営者の方が自分自身でしっかりと理解し、推進者が動きやすい環境を用意するということが、最初にやるべき重要なことです。


 2点目は、推進者の方の熱意と使命感の強さです。言われたからやるような人材や、チャレンジ精神の無い人材に任せては、うまく行くはずもありません。


 ビジネス上痛いかもしれませんが、優秀で前向きな人材に、導入の一定期間の責任を持たせることが必要です。


 結局これも、経営者の方のトップダウンでのリーダシップ次第ということになります。

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