組織力と人材能力
人材は企業の資産です。その人材が持つ能力をどのように見ればいいのでしょうか。
ITスキル標準がもたらしたインパクトはかなりのものでした。特にキャリアフレームワークの職種とレベルでの表現が、我々の予想の範囲を越えた浸透の仕方を見せました。
ITSS V3_2008 キャリアフレームワーク
人材を職種に分類し、能力や実績でレベルを決めるというものです。日本は、資格で評価する傾向が強いと考えられますが、まさにITスキル標準を使った職種・レベルでの評価がピッタリときた、という感覚でしょう。
来年度にスタートするプロジェクトはこのくらいのものがいくつある、したがってこの職種のこのレベルの人材が何名くらい必要。それを事業でまとめると、職種・レベルごとの必要人数が出てくる。これを元に育成計画を立て・・・。
確かに目標値が明らかになり、一見良さそうに見えます。しかし、これでPDCAを廻し実践していけるか、ということです。
ここには課題が2つ存在します。
1つは、この目標人数の信憑性で、どのように考えて数値にしたかということです。なぜその人数なのかを他者に説明できるか出来ないかが分かれ目になります。
もう1つは、育成計画の実施についてです。どの企業も、人材育成は部署などの管理責任者に大きく委ねられています。その責任者が理解して育成のための指導が出来るようになっているか、そのための武器を用意できているかということです。
組織視点で必要なファンクションモデル
先の2つの課題を同時に解決できる方法があります。それが、組織力を機能で捉え、あるべき姿、To Beファンクションモデルを作り上げるという方法です。
To Beファンクションモデル
組織視点で捉えていかないと、企業戦略や事業計画を基にした人材体系、そして育成の仕組みとは言えません。
別の言い方をすると、人材個々の視点では企業や組織の考えと合っているものになりにくいということなのです。
つまり、もしアプリケーションデザイナーという人材像があったなら、そのレベル3の人をレベル4に上げるということでは、企業戦略とうまくつながらないということです。また上司がこのような言い方で、部下を育成するために指導したとしてもピンと来ません。
例えば事業責任者の場合、自分の責任範囲でメンバがどのくらい対象の仕事をする能力を持っているかを知りたいところです。ある人材のレベル2の人が何名いる、だけでは事業推進のために具体的なことを考える程に、あいまいさが明らかになってきます。
事業の推進を考えるときの基本になるのは、責任範囲のタスクを明らかにし、その中での能力分布を示すことです。そのためには、タスクをファンクションモデルとして表す必要があります。
タスクフレームワーク上での能力分布
企業の人材体系の重要な要素であるスキルについては次回以降説明するとして、ここでは組織で実行していくべきタスクを、ファンクションで表すという考え方を示しました。
図を見れば一目瞭然で、そのタスクを実行する能力の分布を見ることが、一番有効な現状把握だといことを、お分かりいただけるでしょう。
タスクフレームワーク上での能力分布
この図は、ある事業エリアの対象の人材の能力を、分類されたタスクごとに分布させ、そのバランスを見るためのものです。
管理下のメンバの能力を人材像ではなく、タスク上に分布させて見るのです。そうするとプロジェクト管理タスクの中でも、契約管理が能力不足だとか、このタスクはバランスよく分布しているなど、組織の実力として見えることになります。
これを人材像・プロジェクトマネージャのレベル4だと言っても何も見えてきません。個人の視点では人材像のレベルが分かりやすいのですが、企業力・組織力の向上という命題の上では、余り意味をなしません。
あくまで企業視点から考える。企業で活用するというのは、そういうことなのです。






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