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IT人材育成とCIOの役割

人材育成の仕組みづくりのベストプラクティス ~スキル標準事例セミナーレポート 第2弾

 

先回に続きセミナーレポート第2弾として、今回はITSSの活用事例を紹介します。
ユーザー企業や情報システム会社であってもITSSを活用されている企業は多いのですが、うまく活用できているという話は余り聞きません。もし、ITSSを導入し活用面でお困りならば、必ず参考になる内容です。

 UISS版と同時に発表されたITSS導入活用事例集は、次のような構成となっており、14社の事例プラス社名をふせた形での失敗事例が、数社掲載されています。
 事例企業として言わずと知れた数社の大手企業と、IPAの実証実験対象の地域企業、および独自に熱意と使命感を持って進めている中堅企業という布陣です。

 

 

ITSS_Jireishu.JPG
 

 

 

 

 

はじめに
第1章 本時例の活用方法
第2章 各社の事例の要約
第3章 各社事例
 1.株式会社インフォセンス
 2.株式会社エイチ・アイ・ディ
 3.NECソフト株式会社
 4.株式会社オージス総研
 5.株式会社柏崎情報開発センター
 6.キーウェアソリューションズ株式会社
 7.キムラユニティー株式会社
 8.サンモアテック株式会社
 9.株式会社シアンス
 10.株式会社CMC Solutions
 11.株式会社日本コンピュータコンサルタント
 12.株式会社日立システムアンドサービス
 13.株式会社フジミック新潟
 14.株式会社ユニテック
 15.ITスキル標準を正しく使えていないケースの紹介
おわりに

 

 最初の活用方法の章では、読み手のステータスによって参考になる事例が特定できるよう、「活用目的別」と「実施状況別」のインデックスが掲載されていて、かなり配慮がされていることがうかがわれます。

 

<活用目的の分類>
・人材育成
 人材像の明確化、育成PDCAの構築など
・人事制度
 人事評価指標との紐付けなど
・組織分析
 スキルをベースにした強み・弱みの分析など
・人員配置・採用
 異動や採用活動、調達など

<実施状況の分類>
・導入の実施
 スキルセットの構築、人材モデル策定など
・運用の準備
 人材育成計画策定、運用モデル策定など
・運用の実施
 人材育成計画の実施、スキル分析など
・改善活動の実施
 運用モデル、人材モデルの見直しなど
・運用期間

 また、2章に企業ごとの要約が掲載されており、さらに分かりやすさが増している印象を受けます。

 

ITSS導入活用事例企業「キーウェアソリューションズ」

 導入活用の推進責任者である山村氏の語る「初期導入~失敗~再導入」の流れは、次の通りです。

 キーウェアソリューションズ(KWS)は、2003年にITSSを導入し、人事制度と連携させて全社に展開しました。
 しかし、理解不足からITSSをそのままの形で導入したため、自社のビジネスモデルに合わないことや企業戦略を表現できていないことが判明しました。
 その結果、現場だけではなく管理層からも不満が噴出し、対処する必要に迫られました。
 その状況を乗り越え、2007年に自社の考えを反映できる導入アプローチを採用し、現場の理解と協力を得て仕組みの再構築を終え、本格的な運用を開始、継続しています。

 

 失敗の原因

 先述の通り、KWSの当初のアプローチは多くの失敗企業の例にたがわず、ITSSに何も手を加えずそのままの形でスキル診断を実施し、さらにその結果を人事評価に直接結びつけるというものでした。
 このようにITSSをそのまま使ってスキルチェックをすることを、To Be/As Isのギャップ分析だと言う理解の浅い方々もいるようですが、これは企業視点には立っておらず、To Beは企業の「経営戦略や事業計画を基にして、意志の入ったもの」でないと意味がありません。ITSSの原型は、参照モデルとして共通化・抽象化されているものであって、企業の意志やビジネスモデルが入っているわけもありません。それをTo Beとして位置づけることは出来ないし、気付きにはなれどそれ以上の意味は殆どありません。

 理解不足の時点ではあまり選択枝がないので、これでいいかもしれないという確証の無い考えで進む場合が多く、いざ本番となり運用していくと、すぐさま何かおかしいと気付きます。そして、真剣に対策を考えれば考えるほど、根本的な考え方の不合理さに、なす術が無く愕然とするのです。

 KWSも同様でした。しかも人事制度に直結させたため、報酬とも密接に関係することになり、あまりの影響度に見直しを迫られることになったのです。
 しかも、2度目は失敗するわけには行かないという窮地に立たされた状態での、再導入作業を強いられることになりました。

 

成功要因

 失敗の原因から成功するための課題が見えてきますが、一度うまくいかず辛酸を舐めた方の言葉には、相当な重みがあります。

 山村氏が語った成功するためのポイントは、次の通りです。

・ITスキル標準は「参照モデル」。自社のビジネスに併せカスタマイズを!
・導入推進者の理解度UPと、導入推進体制の確立
・経営層、社内キーパーソンを取り込み、全社のコンセンサスを!
・第3者は重要。外部のコンサルタントの活用も視野に
・導入手順は、端折らない。「ITスキル標準活用の手引き」を参考に
・全社員の意識統一を!「会社の思い」をしっかり伝える

 

 失敗→成功のパターンには、担当者の異動が伴うことがあり、その場合は一度リセットされて新たにスタートするイメージですが、KWSのケースは役員の責任者も含め失敗に至った体制のままで、再チャレンジし成功させたというものです。

 

 これは、自らの失敗を認めることになり、大変難しいデシジョンであったことが容易に想像されますが、あえてそれを認めた姿勢は大変素晴しく、その姿に社員の皆さんも共感されたことと思います。

 IPA「活用の手引き」で示された導入手順は、各ステップの目的が明確で、山村氏の言われるように端折ると辻褄が合わなくなってしまいます。成功に至る重要なポイントは、社員に納得のいくような説明ができることですが、そのためにはどのようなアプローチを取ったか、それぞれの目的は、成果物は、などの点が明確である必要があります。
 がんじがらめに縛ったアプローチではないので、活用の手引きを理解し進めることで、失敗する可能性はかなり低くなることは間違いありません。

 

 全般にわたり熱いお話をされた山村氏でしたが、最後に語られた次のことが、強く印象に残りました。

 

 『人事制度を単に人事評価や給与決定の手段としてのみ捉えていたのでは、社員の「やる気」を喚起したり、社員としての「満足感」や「一体感」を生むことはできません。
 「会社が発展すれば、自分も良くなる」、「自分が頑張れば、会社が発展する」という関係こそが、社員の「やる気」を喚起し、「満足感」や「一体感」を生む重要なポイントだと考えます。』

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