ITSSやUISSなどスキル標準で採用されているキャリアフレームワークをあらためて定義すると、
「個人が目標とすべき人材モデル・レベルを可視化する」
ということであり、個人が中長期の視点で目標をおいて成長を目指すための指針となります。
この考え方は、優れたアーキテクチャとして評価が高いものですが、これだけを基にすると「来年度はPMのレベル4が10人に」というリソース計画になるわけです。
人材育成の仕組みを廻すのは、現場の管理者が主体となる必要があることから、その管理者の責任エリアでの目標を達成するには、どの人材のレベルいくつが何人で・・・ということになるわけですが、これを考えたことのある方は手に取るようにお分かりのように、自らの目標達成のために人材像/職種のどのレベルに何人というロジックがうまく立てられないのです。
何故なら、キャリアフレームワークは人材像ごとになっており、仕事の視点になっていないので、その人材像のレベルいくつと責任範囲の仕事がうまく合わず、説明することが難しいのです。
合わないものは、組み立ての根拠にならず、自信を持って部下にうまく説明できるわけもありません。結果、えいやで何人としてしまうしかなく、これは今迄やっていたリソース計画と、余り違いはありません。
タスクフレームワークの効用
企業視点で考えると、人材像とレベルで表現した個人視点の「キャリアフレームワーク」だけではなく、自社の経営方針や事業計画を盛り込んだタスク、つまりTo Be機能で表現した「タスクフレームワーク」が必要になります。
「タスクフレームワーク」は、タスク(機能)ごとに、その実施における実力がどのくらいのものかを可視化するものであり、これが企業視点そのものの表現方法になります。
人材像ではなく、タスクで見ることにより、組織の総力が把握できるだけでなく、計画立案の場合にも大きな助けとなります。
図の例では、「プロジェクトマネジメント-プロジェクトの立ち上げ」のタスクについて、
・レベル1:(知識あり)の人材が1名
・レベル2:(指導・指示があればできる)の人材が4名
・レベル3:(独力でできる)の人材が2名
・レベル4:(指導できる)の人材が2名
いることを表しています。
タスクフレームワークによって、機能単位の強み・弱みを可視化することができ、事業計画や組織のミッションに沿った組織の強化ポイントを確認することができるということです。
例えば、「プロジェクトマネジメント力の強化」が組織の課題だとすれば、プロジェクトマネジメントの中でも具体的に何を強化すればよいのかを確認することができます。
また、タスクフレームワークは、キャリアフレームワークと同様、個人単位で見ることにより、個人の強み・弱みをタスクに絞って把握することで、個別の育成・指導を効率よく進めることができるのです。
キャリアフレームワークとタスクフレームワークを活用し、説明できる計画策定を
企業視点で物事を捉えるためには、タスクフレームワークで現状把握、リソース計画立案を進めることが効果的であると、理解していただけたことと思います。
企業導入ですから、この考えが一番初めに無いと導入の目的が不明確になることや、現場管理者が使いやすいものにならないという状態を引き起こします。
だからといって、これだけではキャリアパスの提示にはつながらないし、社員にとっては人材像のほうが分かりやすい面もあるので、この両方を使うことによって今迄説明しにくかったことも、驚くほど突破できることになります。
我々が、三菱UFJモルガン・スタンレー証券をコンサルテーションしたときに活用しだした方法で、それ以降のクライアントは、全てこの方法でスキル標準を有効に活用しています。
キャリアフレームワークを活用して、社員にキャリアパスを提示し、スキルやモチベーション向上を図るのはあくまで手段であって、その先にある目的は企業や組織の目標達成にほかなりません。
その観点が抜けてしまうと話が成り立たなくなり、仕組みの運用を担ってもらう現場の管理者や上司が、うまく理解できないばかりか、導入自体の説明が付かなくなって破綻してしまいます。
企業が導入するのですから、企業力や組織力を上げるのが目的であり、そのためのHowでないと、誰も主旨が腹に落ちず説明できないという状態に陥ります。
企業視点で物事を捉えないと、人材像など個人視点だけではスキル標準の企業導入は、成り立たないということです。
企業視点での活用をするには、タスクフレームワークを使って「現在の総力は」(As Is)、「事業計画上の必要な総力は」(To Be)を明らかにすることが、責任者にとって仕事を進めるために大変重要となってくるのです。






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