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IT部門は戦略的IT活用の担い手たれ

IT部門 ガキの使いやあらへんで!! 《その1》:経営の三角定理とは?

 

経営企画部を凌駕する戦略を作れ!

「IT活用」の過去を振り返ると、オープン化による障害の克服に奔走した「IT活用」ならぬ「IT克用(かつよう)」の時代があった。 バブル崩壊後の低迷期はITが変革の牽引役となり、ITで現場業務を一喝する「IT喝用」も散見された。
そして今や、ITは企業経営に不可欠なツールとなったが、ITが過ぎて「IT活酔う」になってはならない。 これからのITは、競合他社に勝ち抜くための「IT勝用」となるべきだ。
言葉のお遊びはさておき、今回からスタートする本連載は、「IT勝用」を実現するための様々な実践的な方法論やテクニックをご紹介する。
 
「ガキの使い」を返上し「経営参謀」たれ

 情報通信技術の発展により、今や情報システムは企業の戦略的ツールと位置づけられるまでになった。 しかしその一方で、ITによるイノベーションや投資対効果に懐疑的な意見も根強い。 その原因は「○○とハサミは使いよう」と言われるように、使い手や使い方によって効果が左右されるからだ。

 IT活用(いやIT勝用!)に疎い経営者やユーザー部門は、この使い方を理解していないうえに、IT部門をシステムのお守り役としてしか考えていない。 ひどいケースでは、IT部門は企業戦略のカヤの外に置かれ、「ガキの使い」扱いである。

 一方でIT部門も、口を開けば「カタカナ専門用語」のオンパレードで、テクノロジーの砦に守られ「ガキの使い」に安住しているケースがある。 こんな状態では、ITは戦略的ツールとして効果を発揮することは難しい。

 これを脱するためには、IT部門やそれを支えるシステムインテグレータが経営的な視点、戦略的発想でIT活用(いやIT勝用!)を進める必要がある。 つまり、「ガキの使い」を返上し、経営者やユーザー部門の「経営参謀」となるのである。 そのためには、IT部門が戦略や施策について、経営者やユーザー部門と対等に議論できるスキルやツールが必要だ。

 そこで本連載は、IT部門が「経営参謀」になるために必要な方法論やテクニックを紹介する。 また、CIOの役割や習得すべき知識・スキル、IT部門の人材育成などについても取り上げて行こう。

 まず、連載第1回目から数回にわたって、実践的なIT戦略の立案方法について解説する。 ここで紹介する方法論は、指南本にある「使えない」ものとは一線を画し、IT部門が経営分野に踏む込む貴重な一歩となるだろう。

 
IT戦略立案の黄金律「経営の三角定理」

 今回ご紹介する方法論は、経営の黄金律と言われる「経営の三角定理」を活用(いや勝用! くどい!?)した、IT戦略の立案法である。 「経営の三角定理」とは、「戦略・目標」、「業務・IT」、「人・組織」の3つの要素から経営を設計する方法論である。
三角定理と呼ばれる理由は、「ピタゴラスの定理」と同じように、2辺が決まれば残る1辺が決まるという定理が当てはまるからだ。 簡単な例を図に示そう。

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 例えばある商社が、今までのチャネル販売に加え、新たに消費者へのダイレクト販売をスタートさせ、売上を5%アップするという「戦略・目標」を決めたとしよう。 ただし、営業部門の増員は行わず、現状の人員と組織で対応するという「人・組織」を決める。 こうすると、2辺が決まるので、残る1辺の「業務・ IT」は、仕事のやり方をどう変えるか、現状の人員でどれだけの仕事をやらなければならないか、ITで何を効率化するのか、おのずと決まってくる。 この定理を利用して、「戦略・目標」と「人・組織」からIT戦略を作るのがこの方法論である。


 ちなみに、「戦略・目標」と「業務・IT」が決まれば、上記と同様に「人・組織」がおのずと決まる。 つまり、ある戦略と目標を達成するために、どのようなITを使って、どのような業務を行うか決まれば、それを担う人のスキルや組織構成、組織の規模などがおのずと決まる。

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 また、「人・組織」と「業務・IT」が決まると、「戦略・目標」はおのずと決まる。 つまり、その要員数とスキルで、またその業務のやり方とITで、どんな戦略が展開でき、どれぐらいの目標が達成できるか想定できるはずだ。

 ここで重要な点は、「ITは企業経営にとって重要な一部」であることから、ITの世界だけで論旨を組み立てず、「戦略・目標」、「人・組織」という企業経営に重要な他の要素からIT戦略を作ることである。 そして「三角定理」が示すように、これら3要素はそれぞれのバランスが大切だ。

 この関係については、過去の失敗プロジェクトを思い出せば解りやすいだろう。 その失敗には、スキルや要員数、組織構成などに問題がなかったか? または、業務の進め方や利用したITに問題はなかったか? 三角形のバランスが崩れていると、ITプロジェクトにかかわらず失敗を招く。

 貴社の経営の三角形はどうだろうか? 3つの要素のバランスは取れているだろうか? もし、戦略や目標が達成できずに苦しんでいるなら、「業務・IT」と「人・組織」のバランスが崩れているはずである。

 この三角形でIT戦略を考えることは、CIOやIT部門が経営の世界に踏み込む第1歩となる。 なぜなら、他の2辺のひとつ目、「戦略・目標」はトップ・マネジメントや経営企画部門(経理部)、ふたつ目の「人・組織」については人事部門と、経営を担う主要組織と深くかかわったIT戦略を定義することになるからである。

 次回は、「経営の三角定理」による戦略立案法を更に踏み込み、具体的なチャートなどを紹介しながら解説して行こう。 これによって、ITが経営にどのようにインパクトを与えるか、「ITの見える化」も実現できる。これぞ、本当の意味でのIT活用だ。(いやIT勝用だ。 しつこい!もうええって。)

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