
金融商品取引法が求める内部統制への対応で、必ず話題に上るのが「文書化」と呼ばれる作業である。実施基準の中身がどうあれ、現状の業務の進め方や統制環境を記した何らかの文書を用意し、それがしっかりと管理されていなければ、監査の段階で混乱が生じるのは明らかだ。そうしたなか、インフォコムでは、内部統制に対応した2つの文書管理ソリューションを用意し、企業からのニーズに多角的にこたえようとしている。本稿では、同社が提唱する“失敗しない文書管理”の進め方について紹介する。
インフォコム GRANDIT・ECM事業本部 ECM事業部 副部長
竹下順弘氏
俗に“日本版SOX法”と呼ばれる金融商品取引法の内部統制への対応において、「文書管理」はきわめて重要な位置を占める。それは、監査の対象が、主として現状の業務を記した“文書”であるからにほかならない。業務記述書、業務フロー・チャート、リスク・コントロール・マトリクス(RCM)が「統制文書3点セット」として重視されている理由も、そこにあるのだ。
インフォコムのGRANDIT・ECM事業本部でECM事業部 副部長を務める竹下順弘氏は、「財務報告にかかわる内部統制では単に決算の内容だけが問われるのではない。それを生み出すプロセスが監査の対象になる。よって、プロセスを記述する文書がカギになる」と力説する。
それでいて、この文書管理という取り組みには、企業側に時間的余裕があまり与えられていないのも事実だ。というのも、「多くの企業が監査対象の年度に突入する2008年4月までに、統制範囲の定義、文書化、設計評価、運用評価テスト、問題点改善、総合評価の各プロセスを完了させる必要がある」(竹下氏)からだ。
こうした一連の文書管理において、大きな役割を果たすと考えられる1つのITインフラが、定型/非定型のコンテンツを統合的に管理し、社内での共同作業を可能にするECM(Enterprise Content Management)システムである。この種のシステムには、文書管理、ワークフロー、検索、コラボレーションなどの機能が備えられており、統制文書の作成・管理・評価にかかわる主要な機能がほぼ盛り込まれている。現に、インフォコムが販売している「Livelink内部統制文書化プロジェクト管理」では、同社のECMプラットフォーム「Livelink」の上に、統制文書の一元管理、統制文書作成作業の進捗管理、対象部署とのディスカッション、承認記録といった機能が実装されている。
もっとも、文書管理をサポートできるITインフラは、ECMシステムばかりではない。竹下氏がもう1つの選択肢として挙げるのが、文書管理に焦点を絞ったポータル・システムである。この種のシステムは、機能の豊富さではECMに及ばないが、ポータルならではの優れたユーザー・インタフェースによって、高い可視化能力を持つのが特徴だ。中堅以下の企業にとっては、コストの安さも魅力となる。
インフォコムが、この分野の製品として用意しているのが、「MyQuick-ICM」だ。これは、ドキュメント・ポータル製品である「MyQuick」に内部統制の実施に必要な機能を追加することにより、内部統制対応フェーズのうち、文書化、設計評価、運用評価テストの3つのフェーズをカバーできるようにした製品である(下図)。
MyQuick-ICMの活用の流れ
同製品では、統制文書の管理を、MyQuickの基本機能(文書データベースでの階層管理、変更/承認のためのワークフロー処理、変更履歴を追跡するバージョン管理、ログ取得)でカバーしつつ、内部統制向けとして主としてテストと評価にかかわる機能が追加されている。これにより、例えば、テスト時に使うチェックシートをRCMから直接生成し、業務部門がWebブラウザ上で結果を入力して社内の内部統制担当部門に報告したり、集まったチェックリストを自動集計し、組織・プロセスなどの条件別で統制の有効性を評価したりといったことが可能だ。
ECMとポータル・ベースの文書管理システム──この2つのアプローチで企業の統制文書の管理を支援しようとするインフォコムの目線は、内部統制の当事者である“現場”へと強く向かっている。■