東日本大震災

東日本大震災を乗り越えたデータセンター

大災害とその後の影響に彼らはどう対処したか

2011/09/28

未曾有の大地震から大津波、原子力発電所の事故と、立て続けに悪夢を経験した日本のデータセンターは、それでも甚大な被害を受けずに稼働し続けた。その背景を日本データセンター協会の役員が米国で語った。

ジェームズ・ニコライ ● text by James Niccolai

入念な準備から円滑なディザスタ・リカバリへ

 優れた建築と適切な備えのお陰で、日本のデータセンターは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被害をほぼ免れた――日本のデータセンター事業者の幹部は6月30日にそう語った。

 震災に見舞われた日本のデータセンター事業者は、非常用電源の燃料や機材の不足に対処しなければならなかった。また、7月1日に発動された電力使用制限令の制限緩和の適用を受けようと奮闘もした。しかし、国内観測史上最大の地震に襲われながらも、日本のデータセンターの中で重大な被害を受けたり停止に追い込まれたところはなかったという。

 「これまでのところ、日本データセンター協会に重大な被害は報告されていない」と、データセンター事業者IDCフロンティアの事業企画本部技術企画部部長を務める山中敦氏は語った。同氏は、データセンター事業者とサプライヤーの団体である日本データセンター協会(JDCC)の運営委員で、国際競争力ワーキング・グループリーダーも務めている。同氏は6月30日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「DatacenterDynamics」コンファレンスで、東日本大震災とその影響に対するデータセンターの対応について講演を行った。

 IDCフロンティアは日本ヤフーの子会社で、国内9カ所の施設でヤフーと外部顧客のデータセンターを運営している。

 山中氏は、東日本大震災で日本のデータセンターには3つの災厄が降りかかったと語った。すなわち巨大地震そのもの、東北沿岸とそこに立地する原子力発電所を襲った巨大津波、原子力発電所の損傷の影響による電力不足だ。

 日本のほとんどのデータセンターは、国内の厳しい建築基準をさらに上回る耐震性を備えており、今回の震災でも被害は軽かったと山中氏は言う。例えば、日本の現代的なデータセンターは免震構造が適用されている。免震構造においては、地盤と建物の間に金属とゴムから成るアイソレータ(免震装置)を設置する。アイソレータが地震の揺れを吸収し、低減する仕組みになっている。

 さらに、一部のデータセンターでは、床レベルやラック・レベルのアイソレータも採用されている。また、サーバ・ラック、冷却機器、そのほかの設備はすべて床にしっかり固定されている。

 「米国の一部のデータセンターでは、ラックが床に置かれただけになっているが、日本でそうしたことはありえない」(山中氏)

 アイソレータは、建物レベルの地震対策として最も効果的だと山中氏は話す。ラック・レベルのアイソレータの一部は、東日本大震災の際に機能しなかった。それでも、重大な損傷が報告されたサーバ・ラックは日本の全データセンターで5台だけだったという。

 また、データセンターの被害が軽かったほかの要因として、「日本のデータセンターの約7割が震度の比較的小さかった関東にある点も挙げられる」と、山中氏は語った。太平洋沿岸が津波に襲われた東北には、大規模な商用データセンターはなかった。まさに「津波が発生する可能性が予想されていたことがその理由の1つだ」と、同氏は説明している。もっとも、東京でも揺れはかなり激しく、2分近くにわたって地上で最大10cmの横揺れがあった。

 「一部の企業はデータセンター建設計画を変更し、より安全と考えられている関西以西の地域に立地を移してプロジェクトを展開している」と、山中氏は説明した。

 震災後、ディザスタ・リカバリはおおむね円滑に実行された。停電した施設ではUPSとディーゼル発電機が作動し、企業はただちに大量の燃料を注文したという。

 しかし、こうした非常用発電機燃料が供給不足に陥り、政府が最も深刻な被災地に優先的に振り分けた電源ケーブルなどの機材も足りなくなった。

 「通常の電源ケーブルとタップが1カ月も手に入らなかった」(同氏)

go_to_top

ページの先頭へ戻る