膨れ上がるデータベース・コストにメスを入れる
2011/09/28昨今の厳しい経済環境下において企業が生き残るためには、競争力の源泉となるIT投資を積極的に行いつつ、維持費や運用管理費などは必要最低限に抑える必要がある。もっとも、さまざまなコスト削減策はもはや限界に近づいているのが実情だ。そうしたなか、マイクロソフトでは、これまでの常識にとらわれず、ゼロベースの観点からIT投資の配分を組み替える新たなアプローチを提唱している。以下、その全容を概観する。
問われるIT部門の真価
今日のビジネスは、ITと一体の関係にあると言われている。実際、他社に対する競争力の源泉となっているのは、差別化要素を持った「コア」と呼ばれるシステムだ。そうした中で急がれているのが、IT部門が担う役割の強化である。
現時点では優位を発揮しているコア・システムであっても、中長期的には競合他社が追随してくるため、次第に差別化要素を失い陳腐化していく。そのため企業は常に新たなコア・システムを模索し続ける必要があるわけだが、その構想や戦略を経営陣や事業部門に提示し、具現化していけるのはIT部門をおいてほかにない。現在のIT部門には、ビジネスへのダイレクトな貢献が強く求められているのである。
しかし、現実のIT部門はどうかというと、そうしたプロアクティブ(先見的)な組織への進化を遂げられずにいる。
多くの調査結果からも、IT投資の70%以上が販売管理や生産管理といった、いわゆる基幹系システムの維持管理に費やされているという実態が見えてくる。これらのシステムは、経営に欠かすことのできないミッション・クリティカルなものであるが、必ずしも競合他社に対する差別化要素にはつながらないものである。むしろ、その維持管理に縛られ、コア・システムに対する思い切った提案を行えないというジレンマの中で、IT部門は依然としてリアクティブ(事後対策的)な役割を強いられているのである。
そのコストは本当に必要なのか
では、企業はどんな手を打てばよいのだろうか。
「もはや小手先のコスト削減によって、新規投資のための原資を生み出すといった施策は限界に達している」と指摘するのは、日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 部長、吉川顕太郎氏である。
「今の企業のITシステムに求められているのは、抜本的な予算の組み替えであり、構造そのものの組み替えである。ゼロベースの観点から、これまで“聖域”とされてきた部分にも大ナタをふるっていく覚悟を持たないと、その実現は難しい。クラウドも含めた多様な選択肢の中で、自社にとって最も費用対効果の高いソリューションやプラットフォームは何なのかを改めて考える必要がある。ドラスティックな変革を成し遂げないことには、いつまでたっても新たなコア・システムへの投資は行えない」(吉川氏)
吉川氏の言うところの“聖域”とは、具体的にはどのシステム領域を指すのだろうか。ハードウェアの領域は、実は企業にとってそれほど大きな負担ではない。サーバにしてもストレージにしても、急速なペースで高性能化と低価格化が進行しており、その流れに身を任せたライフサイクルでリプレースを行っていけば、おのずとコストの最適化が図られていくからだ。現在ではすでに多くの企業が仮想化技術を導入しており、リソースの利用効率の改善も進んでいる。
問題は、その上で稼働させるミドルウェア、なかでもデータベースである。周知のとおり、世界のデータベース市場は少数ベンダーの寡占状態にあり、ベンダー側のロジックに沿って各ユーザー企業の投資額が決められているという感が否めない。
「特に基幹系システムの運用を支えるデータベース製品に対して、ベンダーから要求されるままに非常識とも思えるような高額なメンテナンス・コストを払っていないだろうか。複雑なライセンス契約に基づく年間保守に加え、技術文書やパッチの入手にまで対価を要求されていないだろうか。しかも、それらのコストは毎年のように改定(値上げ)されていないだろうか。利用プラットフォームのサポートが、突然に打ち切られることへの不安はないのか。数々の懸念を抱えながら、特定のベンダーに依存しきったままでよいのだろうか。今まで当然必要だと思って支払ってきたコストが本当に必要なものだったのかどうか、あらためて“常識”を見直す必要がある」と吉川氏は指摘する。
ミッション・クリティカル領域で
導入実績を伸ばすSQL Server
そうしたなか、日本マイクロソフトが、ITシステムにおける抜本的な投資の組み替えを実現すべく、新たなデータベースの選択肢として提唱しているのが「Microsoft SQL Server 2008 R2」(以下、SQL Server)である。
他ベンダーのデータベース製品を“No.1”と疑わなかった企業にとってSQL Serverは、これまで部門や拠点単位で数多く導入されてきた経緯から、小規模向け製品というイメージがあるかもしれないが、その認識は正しくない。部門や拠点単位でSQL Serverが数多く使われてきたのは「導入のし易さ」というメリットによるものにほかならない。そもそも“No.1”という市場評価にしても切り口はさまざまだ。金額シェアではなく、出荷本数シェアで見た場合に優勢なポジションに立っているのは、実はSQL Serverである。この事実は、SQL Serverの「コスト・パフォーマンスの高さ」の裏づけでもある。
また、SQL Serverは、大規模かつミッション・クリティカルなシステム領域においても高い信頼を獲得している。例えば、国内の金融機関においてSQL Serverは着実に導入実績を伸ばしている。次世代銀行勘定系システム、インターネット・バンキング・システム、オンライン証券システム、不動産管理システム、外国為替証拠金取引(FX)システムなど、事例は枚挙にいとまがない。
もちろん、SQL Serverは“将来”に対しても大きな可能性を持っている。吉川氏は、今のうちにSQL Serverへの移行を検討しておくことの意義を次のように語る。
「マイクロソフトがクラウド・サービスとして提供しているMicrosoft SQL Azure Databaseは、SQL Serverと同じアーキテクチャを採用している。これにより、オンプレミスな自社データセンターとクラウドを融合したハイブリッドな運用や、自在なデータ移動が可能となる。こうした高いポータビリティを備えたデータベース製品は他にはない。さらに、SQL Serverの次期バージョンとして開発を進めているDenali(注:開発コード)では、AlwaysOnと呼ぶ新機能の下で、同期・非同期のデータベース複製や、フェールオーバークラスタを統合。今まで以上にシンプルかつ容易な方法でHA(高可用性)やDR(災害復旧)のニーズに応え、大手のみならず中堅・中小規模に至るまで、BCP(事業継続性計画)強化を目指す企業の取り組みを低コストでサポートする」
他社データベース製品からの
移行アセスメント サービスを提供
もっとも、どれだけメリットを書き並べたとしても、基幹業務システムの運用を長年担ってきたデータベースの移行には、なかなか踏み切れないのが多くの企業の本音だろう。そこで日本マイクロソフトでは、中立的なコンサルタント会社によって、他社データベース製品、なかでもOracle Databaseに主眼を置き、SQL Serverへの移行をサポートする「オラクル移行アセスメント サービス」を提供している。
同サービスは、大きく次の3つのメニューから構成される。
(1) システム・アセスメント
運用中のシステムで稼働しているデータベースに関する情報(バージョンやプラットフォームなど)を収集し、データベースをグループ化。SQL Server への移行難易度および移行後のコスト削減額を算出する。
(2) プロシージャ移行アセスメント
特定システムのデータベースで利用しているプロシージャをSQL Serverに移行する際の移行コストを、書き換え工数まで含めて算出する。
(3) データ移行アセスメント
特定システムで稼働しているデータベースのデータをSQL Serverに移行する際の移行コストを、コンサルタントによる詳細なアセスメントに基づいて算出する。
吉川氏は、この移行アセスメント サービスの効果は大きいと胸を張る。
「ある製造業のケースでは、このアセスメントの結果、5年間で最大8,800万円のライセンス・コストの削減が可能と判明し、実際にSQL Serverに移行することで、抜本的な投資組み替えを成功させた」(同氏)
昨日まで信じて疑わなかったデータベースの常識が、明日も通用するものなのかどうかを改めて問い直してみることが、抜本的なIT予算組み替えのカギとなることは間違いなさそうだ。![]()
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