マスター・データ・マネジメントの必要性
2011/03/25データを漫然と利用し、ほんとうの価値を引き出せていないとしたら、それほどもったいないことはない。全社的な統合ときめ細やかな統治を実現できれば、データが企業にもたらす恩恵は倍増するだろう。CIOがそうしたプロジェクトを遂行する際、どのような戦略をとり、周囲にどう働きかければよいのか、2人のCIOに助言を仰いだ。
ポール・ベルガモ、ジーザス・アリアガ ● text by Paul Bergamo, Jesus Arriaga
ある大手の金融サービス会社が、データ管理と、ガバナンスに関する根本的な問題に直面しているとしよう。ビジネスリーダーは、オペレーション面でも分析面でも、データをより効果的に活用したいと考えている。このため社内では、データを真の会社資産として扱うことに幅広い支持基盤があった。今では社内のだれにとっても、一連のデータの統合は優先事項だ。CIOとCTOは、主要分野へのマスター・データ・マネジメント(MDM)導入の必要性に合意する一方、まず全体的なデータ戦略を打ち出す事が先決だと認識していた。では、状況を前進させるためにITリーダーとして実施できる最も効果的な方法は何だろう。

リバティ・ミューチュアルの元CTO、ポール・ベルガモ氏。現在はニューバンテージ・パートナーズのゼネラル・パートナーを務める Photo courtesy of Newvantage Partners
私はこれまで数多くの企業を対象に、データ管理やガバナンスの改革を支援してきた。その中で、企業が最終的に何が必要なのか明確に理解していなかったために失敗してしまう例を数多く目撃した。またビジネスの合意を得ずにITだけで独走し、結局改革が行き詰まってしまう例も多かった。
ビジネスリーダーは、データに関するハイレベルの決定に責任を持ち、これを推進しなければならない。一方でITは、決定内容の実行や、技術的助言および勧告の提供に集中する必要がある。
私のクライアントの中で、これを非常にうまくやった企業がある。この企業では、あるトップのシニア・エグゼクティブが対象分野の責任を持つと宣言し、自分のデータやデータ利用の標準化を大幅に進捗させた。彼がこのアプローチを取り始めてから、ITもビジネス・ユーザーも、物事をきっちりと進めるうえで、ガバナンスとしての彼の役割を求めてくるようになったという。
CIOとCTOがパートナーを組む場合、まず最初にビジネスの(単なるサポートではない)関係性を確保し、期待値を設定する必要がある。さらにビジネスに対し、すぐれたデータ戦略やデータ管理およびガバナンスは、継続的に努力を要するものだということを説明する。その後データ機能や要求事項に優先順位をつけ、ビジネスと主要指標に合意する必要がある。
効果的なコミュニケーション戦略の設定は、組織を巻き込み、関係者に個々の役割を理解させるうえで重要な鍵となる。またデータの能力に見合った監視モデルの導入も必要だ。最後の(そしておそらく社内政治的に最も厳しい)ステップは、データに関する決定事項やアクションに対し、人々に説明責任を持たせることだろう。

キーストーン・オートモーティブの元CIO、ヘスス・アリアーガ氏。現在は、CIOストラテジック・ソリューションズの社長を務める Photo courtesy of CIO Strategic Solutions
私が数年前にCIOを務めていた会社も、同様の問題に直面していた。この会社では長年に渡ってシステムやデータソースが、バラバラの定義に基づいて構築されてきた。例えば、照合システムによって製品分類に含まれる製品の定義がまちまちだったりしたのである。
このため分析も一苦労だった。「真実」のシナリオが複数導出されてしまうケースが多々あったからである。システム間のデータ転送すら問題で、データを修正し、データの管理方法を改善しなければならないのは明らかであった。その改善方法として、MDMは最善の策に思えた。堅牢なMDM戦略を策定するため私たちは、(1)ビジネス・プロセスの定義付け、(2)データ統合ポイントの理解、(3)データ・クレンジング、(4)継続的なガバナンスなどを実施した。
ビジネス・プロセスの定義付けにあたっては、データの作成および利用/処理プロセスの文書化に携わった、ビジネスやITの主要関係者を巻き込み、部門横断的なチームを立ち上げた。このチームはまた、全社の標準となるデータの定義付けも行った。さらに、(長い時間を費やして)抜本的なデータ・クレンジング行ったことで、MDM戦略を維持するには一部のアプリケーションに不十分な部分があり、修正が求められることも特定できた。またあらゆる変更案件の決議機関であるIT運営委員会と協力し、ガバナンスの方法も確立した。
この取り組みを通じて、管理を容易にし、会社の成長に伴う変化により柔軟に対応できるようなIT環境が実現できた。どの分析結果が正しいかをめぐる議論は、もはや過去のものとなった。「真実」は1つに絞り込める環境になったからだ。![]()
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