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“待ったなし”のグローバル化に向けて重要度を増すアウトソーシング戦略

高い経験値に基づき企業の世界戦略を支えるパートナー、ウィプロ・テクノロジーズ

2011/10/21
CIO Online Special

国内市場の縮小、急速な円高の進行などにより、事業のグローバル展開は企業が生き残っていくうえでの避けて通れない取り組みとなっている。そうした中で関心が高まっているのが、グローバル・ソーシング戦略だ。グローバル規模のガバナンスを強化するITシステム統合を実現するため、CIOはどんな戦略をもって臨むべきか。ウィプロ・テクノロジーズの経営企画室長 兼 マーケティング本部長、若林稔氏に聞いた。

「下請けからパートナーへ」
海外戦略における位置づけの変化

 


ウィプロ・テクノロジーズ 経営企画室長 兼 マーケティング本部長 若林稔氏

 IT業務の一部を社外に切り出し、国内外の人件費格差を利用して業務コストの大幅な削減を図る──。そうした期待のもとに進められてきたグローバル・ソーシングのあり方が、ここにきて大きく変わり始めている。定型的なIT業務を下請けするだけの存在から、「ビジネス戦略上のパートナー」へと変化してきているのだ。

 「背景には、“待ったなし”でグローバル化に臨まなければならない日本企業の事情がある」と語るのは、ウィプロ・テクノロジーズ(ウィプロ・リミテッド グローバルITサービス部門)の経営企画室長であり、マーケティング本部長を兼務する若林稔氏だ。

 日本企業を取り巻く近年の経済動向を直視すると、生産/消費の中心となる世代の人口の減少に伴い、国内市場の縮小はもはや避けられない。さらに、先の東日本大震災による産業界への甚大なダメージや、急速な円高進行が追い打ちをかける。多くの企業にとって、グローバル化は生き残りをかけた必須条件となっているのだ。

 実際、電機や自動車など、我が国を象徴する企業の地域別売上構成比を見てみると、すでに海外における売上比率が日本国内を上回っている。米国や欧州だけでなく、アジア/中国、最近では南米なども含めた幅広い地域でビジネスが展開されており、しかも、それらは生産拠点を海外に移し、アジアで生産した製品をヨーロッパで販売するといった、N対Nの関係に支えられている。

 こうしたグローバル経営と直結し、支えているのがITだ。だが、若林氏はグローバル経営に対応できていないITの現状を指摘する。

 「海外と国内のITシステムが分断したままで、各拠点のオペレーションやサプライチェーンの情報を本社で把握できていない企業が少なくない。KPIをリアルタイムに可視化し、ガバナンスを強化するため、グローバル規模でのITシステム統合が急がれている。そして、そのサポートを、ウィプロのようなグローバル・ソーシング企業に求める声が高まっている」(若林氏)

アウトソーシングを活用した事業成長は
世界の先進企業の“常識”となった

 グローバル・ソーシング企業を“ビジネス・パートナー”とみなす発想は、2008年秋のリーマンショック以降、急速に浸透しているという。2000年代前半には欧米市場に参入していたウィプロだが、当時はまだ「単なるコスト削減の手段」と位置づけられるケースがほとんどだった。だが、それから数年のうちに、グローバル展開のためのパートナーとしてウィプロにITサービスを委託する企業が急増した。

 「特に、製品をグローバルに展開している企業では、製品の設計/開発から、テスト、保守/運用までを一括でアウトソーシングするケースが増えている。世界で戦っていくためには、ビジネスとITは直結し、変化に対応すべき。そのことを企業が強く意識し始めた」(若林氏)

 自社のIT戦略にグローバル・ソーシングをうまく組み込み、事業の成長につなげていくことは、今や世界の先進企業の“常識”となりつつあるのである。

 もちろん日本企業も例外ではない。例えば、世界39カ国でコピー機やプリンタ複合機を展開するOKIデータは、世界30拠点にわたる業務システムの運用/保守/新規開発について、ウィプロとアウトソーシング契約を結んでいる。ウィプロは運用/保守/開発を一括して提供するだけでなく、OKIデータのIT戦略統括組織にも参画し、TCO削減を目的とした継続的なサービスを提供している。OKIデータとウィプロの間には、まさにパートナーシップと呼ぶにふさわしい緊密な関係が築かれているのだ。

 そもそもウィプロは、米国企業のアウトソース先として成長し、「リーン生産方式」の採用や「CMMIレベル5取得」など、高いサービス品質を特徴にしてきた企業である。日本国内では1990年代後半から、ERPシステムの導入支援やBPRのアウトソース先として存在感を示してきた。

 そのウィプロのITサービスは現在、システムの受託開発や導入支援といった領域にとどまらないほど拡大している。対象業種は組み込み系エンジニアリングをはじめとして、金融、保険、医療、通信、エネルギーなど多岐にわたる。開発拠点は54カ国72拠点、大規模データセンターは世界9カ所に備える。日本国内のニアショアに対するニーズの高まりを受け、世界28カ所に展開しているBPO (Business Process Outsourcing)センターの一環として、2010年には沖縄にもコールセンターを開設した。

 すなわちウィプロは、企業が抱える問題点を洗い出すデューデリジェンス、ITシステムの現状を把握するアセスメントに始まり、ITシステムの企画、開発、インフラの提供、運用/保守、コンサルティングといったほぼすべてのIT業務を、グローバル規模で提供できるベンダーとなっているのである。

ウィプロのサービス

 

ユーザー企業自身の意識改革に向けて
CIOのリーダーシップが期待される

 「ウィプロの最大の特徴は、あらゆるITサービスをワンストップで提供できる点にある。グローバル・ネットワークを通じてアウトソーシングのメソドロジーも確立してきており、変化に対応するためのチェンジ・マネジメント手法も持つ。ITだけでなく、ビジネスサイドのアドバイザーとして企業を支援できる体制がある」と語る若林氏は、同時に次のようにも強調する。

 「当然のことだが、あらゆるIT業務を頭から“丸投げ”で任せてほしいと言っているわけではない。ステージに応じて必要なサービスを選択し、中長期的に付き合っていけるパートナーだと理解していただきたい。ウィプロであれば、グローバル拠点の人材がリサーチをかけながら、ITシステム統合などのゴールを一緒に考えていける。海外拠点で何か問題が起こるたびに日本から技術者が駆けつける必要はなく、現地でウィプロの人材が対応し、サポートできる。そして開発が必要となれば、オフショアによる開発もニアショアによる開発も一貫して請け負える。顧客企業とのダイレクトなコミュニケーションのもと、ステージごとに対応可能な手段やサービスを拡充している」(若林氏)

 ちなみに、ウィプロではインドのハイデラバードに日本語教育センターを設置し、日本語を理解できるエンジニアの育成にあたっている。新人研修は「Shimpo」(=進歩)と呼ばれ、9カ月間にわたって日本語ならびに日本の市場環境に合わせた技術教育を行う。さらに、日本におけるビジネス拡大にともなって、すでにエンジニアとしての経験を持つ者を対象とした「Kokoro」(=心)という3カ月研修コースも設置している。

 もっとも、グローバル化におけるあらゆる課題がベンダー任せで解決するわけではない。グローバル・ソーシングで効果を上げるためには、何よりもユーザー企業自身によるITへの意識改革が求められる。そこで重要な鍵を握るのがCIOだ。

 「クラウド・コンピューティングの世界では、『サーバがあるのは国内か、海外か』と問う意味がない。それと同じように、今後、『アウトソーシング先は国内か、海外か』と問う意味もなくなるだろう」(若林氏)

 こうした変化の中で、CIOはどのような役割を担っていくべきなのか。若林氏は、「グローバル市場が今どう動いており、どんなITシステムが求められているのか。常に“世界地図”ベースで物事を判断し、経営の視点からITをフロントオフィスに移行していく必要がある。CIOにはそこでのリーダーシップを発揮してほしい」と訴える。

 ウィプロでは、トランザクション・ベースでの価格設定、オフショアとニアショアの使い分けによる効果算定、成果報酬型のアウトソーシング・モデルの提案など、新しい料金モデルやサービスを提供しつつ、グローバル化に臨む企業を全面的にサポートしていく方針だ。

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