“仮想店舗”で顧客の行動を把握
2012/04/19食料品店における品物の陳列と商品の値付けは、根拠もなく適当に実施されているわけではない。入念なマーケット・リサーチをしたうえでの戦略なのだが、今日では、店舗シミュレーション技術を駆使して顧客の行動を予測し、売上げ倍増を図るようなケースも出始めている。事実、ペプシコなど多くの企業がそうして業績を伸ばしているのだ。
シンディ・ワクサー ● text by Cindy Waxer
仮想ショッピング
その昔、市場調査と言えば、フォーカスグループ(定性的研究の一種)が圧倒的な存在感を示していた。しかし今では、食品・飲料大手ペプシコをはじめとする複数の企業が、仮想シミュレーション技術のコスト・パフォーマンスと敏捷性の高さから、これを積極的に取り入れるようになっている。
例えば、コーンスナック菓子の「フリトレー」を、複数個購入で割引するのと、1個の価格を下げるのとでは、どちらが採算がよいのか――。ペプシコはこの問題を検討するにあたり、米国ディシジョン・インサイトの3D店舗シミュレーション技術「SimuShop」を使って構築したバーチャル食品店舗内で消費者モニターに“仮想ショッピング”をしてもらった。
その結果、複数個購入で割引したほうが、小売店の売上げが23~30%ほど高くなることが分かったという。
ペプシコのショッパー・インサイト担当副社長、マイケル・アダムス氏は、「ごく単純なアイデアのように思えるだろうが、ビジネスにとっては絶大な意味合いを持つ技術だ」と説明している。
消費者の行動を分析
ディシジョン・インサイト、インコンテキスト・ソリューションズ、VRインテリジェンスなどのベンダーが提供している店舗シミュレータは、使い勝手が格段に上がったこともあり、売上げを増やし、顧客をうまく囲い込むためのツールとして人気を博している。これらは、ほんの数年前にはマーケット・リサーチ研究所が秘密兵器として大事に隠し持っていたソリューションだ。
「高性能な技術であるため、ソフトウェアを動作させるのに強大なコンピュータが必要だった」と、アダムス氏は当時を振り返る。
それが今や、消費者モニターが自宅のコンピュータからセキュアな仮想ショッピング・サイトを経由して、こういったシミュレーションにすぐに参加できるようになった。マウスのクリックなどの行動履歴はすべて記録されるため、消費者モニターが商品を選ぶに至った過程をグラフ化して、将来の分析に役立てることができる。さらには、アンケート調査の回答や全般的なコメントなどと統合し、消費者の行動をさらに深く理解するためにデータを活用することも可能だ。
店舗シミュレーションは、フォーカスグループやテレマーケティングよりコストも時間もかからずに済む。こうして節約できた費用は、新しい製品ラインの販売展開につぎ込めるというわけだ。

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