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クラウド・コンピューティング

クラウド、これからの1年を読む(前編)

注目すべき10の変化をとらえる

2011/07/06

今年に入り、クラウド・コンピューティングを巡るさまざまな動きが一気に加速し始めている。ここでは、この1年間で大きなうねりになるであろうクラウド・コンピューティングの注目すべき10のトレンドを一挙に解説する。前半となる今回は、サービス・プロバイダーの動向を予測する。

バーナード・ゴールデン ● text by Bernard Golden

クラウド・サービス・プロバイダーの動向

【予測1】投資/参入ラッシュ、そして業界再編へ

 これからの1年も、クラウド・サービス・プロバイダーは、クラウド・ソリューションの開発に多額の資金を注入し続けるだろう。またそれと併せて、業界再編の動きが加速されるかもしれない。

 例えば、大手プロバイダーはデータセンターの建設はもとより、機器/インフラの購入やソフトウェア・プラットフォームの実装、自社サービスのマーケティング/販売などに多大な投資を行うはずだ。また、中小のプロバイダーも小規模ながら大手と同じ領域に投資を行うだろう。

 そうした中で、クラウド市場への新規参入ラッシュが続くと思われる。というのも、コロケーションやホスティング、マネージド・サービスなどを提供しているプロバイダーの多くが、彼らの現行サービスではクラウド・コンピューティングのアジリティ(俊敏性)や低コスト性に太刀打ちできないと肌身で理解しているからである。

 ただし、クラウド・サービスは、資本集約型で競争も激しく、しかも顧客が料金の透明性を求める実に厳しいビジネスである。そのため、資金力に乏しい新規参入企業の多くは、「勝ち目がない」と判断し、あわててこの市場から撤退することになると思われる。

 もちろん、新規参入企業の中には、すでに株式上場を果たしている大手企業もあるだろう。しかし、上場企業の場合、株主からの強力な支持を得ないかぎり、クラウド・ビジネスのように利益回収に時間のかかる事業機会を追求しにくいという制約がある。そうした点を踏まえて考えると、2011年末から2012年初めにかけて、クラウド事業から手を引こうとする大手企業が続出する可能性もある。また、それらの企業からクラウド事業を引き継ぎ、クラウド市場への新規参入を図る、あるいは、クラウド事業の強化を図ろうとするプライベート・エクイティ企業も出てくるはずだ。

【予測2】“IaaSはSMBに適す”の誤認が正される

 多くのITベンダーやITの専門家は、SMB(中堅・中小企業)にはIaaS(Infrastructure as a Service)のサービスがピタリとはまると力説している。彼らがそう主張する理由は、大抵のSMBには高いスキルを持ったITインフラ専門の技術者が数多く存在しないからである。

 ただし、率直に言えば、この主張には若干の間違い、または嘘がある。おそらく今年内にはそのことが広く知れわたることになるだろう。

 実際、IaaSの採用によってインフラをアウトソースしても、多くの厄介な問題は解決されずにそのまま社内に残ることになる。よって、早晩──筆者の予測では今年内にも──SMBにおけるIaaS活用の“非有効性”が広く理解され、「SMBにはやはりSaaSが適しており、IaaSの利用は大企業だけが考えるべき選択肢である」との認識が一般的になるはずだ。


 その結果、SaaSの普及がさらに加速され、SaaSプロバイダーは一段と存在感を増すことになるだろう。しかも、SaaSの躍進はSMB市場だけにとどまらず、大企業の市場でも同様に見られるはずである。つまり、SaaSは、非基幹アプリケーションのコスト削減を目指すあらゆる企業にとって定番の選択肢になるということである。

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