導入前の綿密な準備が成功のカギに
2012/01/26リスクさえうまく管理できれば、クラウド・コンピューティングのメリットは計り知れない。情報資産をクラウドに移す計画を立てる際、どうすればリスクをうまく管理できるかについて、イーコム・カナダのスリ・プラカシュ氏が解説する。
スリ・プラカシュ ● text by Sri Prakash
クラウドを検討しなければ
時代に遅れるのは必至
厳しい経済状況下ということもあって、クラウド・コンピューティングはすばらしい経費節減策に見える。そして、事実そうである。いずれにせよ、景気の善しあしにかかわらず、現実的な経費節減策を講じるのは適切なことだ。
今日のCIOは、グーグルやマイクロソフト、IBMなどの大手ITベンダーだけではなく、無名のクラウド・プロバイダーからも経費節減策として従来のデータセンターやIT部門に代わるさまざまなサービスを売り込まれている。何もかもクラウドに任せて楽をしたいという誘惑にかられるのは、無理からぬことだ。だが、うますぎる話には必ず裏があるように、クラウド・コンピューティングにもさまざまなリスクが潜んでいる。CIOとCTOはすぐに決断するのではなく、まずそうしたリスクについてしっかり認識する必要がある。
情報資産のクラウド移行を計画する際にどうすればリスクをうまく管理できるかについて詳説する前に、他社の現状を理解するため統計を紹介しよう。クラウド・コンピューティングはすでにメインストリームになったのだろうか。
クラウド・コンピューティングの採用についてISACAが2010年に実施した調査リポートに、なかなか興味深い結果が示されている。リスクがメリットをはるかに上回ると考えているITプロフェッショナルは45%に上り、基幹系アプリケーションをクラウドに移すことを検討している割合は全体の10%にすぎなかった。つまり、ISACAや他の業界団体が発表しているクラウド採用に関する統計を見るかぎり、クラウド・コンピューティングはメインストリームの選択肢ではあるものの、第一の選択肢ではないのである。
情報資産の一部、もしくは全部をクラウド・コンピューティング基盤に移すことに成功した企業もあるにはある。しかし、大多数の企業はまだ本格的に手を着けてはいない。では、クラウド・コンピューティング戦略を立てるのは時期尚早なのだろうか。
これについては、まったくその逆だ。クラウド戦略をまだ検討すらしてないCIOは、近い将来取り残される可能性がある。ほとんどの企業には、クラウドに安全に移行して、なおかつコストを節約できる分野が必ずあるからだ。
では、情報資産をどの程度までクラウドに移すべきか。それは候補となる情報資産すべてにリスク・アセスメントのフレームワークを適用することで決められる。そのためには、まずリスクを理解したうえで、それぞれのリスクに対する軽減策を立てることが重要だ。

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