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クラウド・コンピューティング

プーマがクラウド・ベンダーを4社から1社に絞り込んだ理由

クラウド戦略は「シンプル・イズ・ベスト」

2012/04/04

スポーツ用品メーカーのプーマは、契約していた4社のクラウド・ベンダーを1社に絞り込んだ。これにより、クラウド戦略の簡素化とコスト削減に成功している。

キム S.ナッシュ ● text by Kim S. Nash

融通のきかない代物

 必要に応じてサーバの処理能力を上げ下げしたり、ストレージ容量を増減したりできるクラウドは、集中的にリソースを投じたと思えばすぐに一時中断することもできる、オンライン・マーケティング・キャンペーンのニーズに最適なソリューションだ。年商36億ドルのスポーツ用品大手プーマもそうしたメリットを認め、数年前にクラウドの導入を急いだという。

 しかし、プーマでは4社の異なるクラウド・ベンダーと契約を結んだこともあり、それぞれが独自の契約条項や価格帯、技術オプションを提示するという混乱状態が生まれてしまった。そこで同社は、クラウドを統合し、「“巨大かつ、でたらめなインフラストラクチャ”をコントロールできるようにしようと決断した」と、同社のデジタル戦略責任者、ジェイ・バスナイト氏は説明している。

 国際的なコンソーシアムであるオープン・グループの互換性担当ディレクターを務めるクリス・ハーディング氏は、こうしたクラウド統合プロジェクトが各所で展開され始め、ITという分野においてクラウド・コンピューティングがいかに融通のきかない代物になっていたかが露呈したと語った。オープン・グループは、オープンかつベンダー中立的なIT規格および認証を推進している団体である。ただし、ここで問題となるのは、クラウド信奉者が言うほどクラウドの乗り換えは簡単ではないということだそうだ。あるベンダーのクラウド用に開発されたアプリケーションが、ほかのベンダーのクラウド上でうまく動作するとはかぎらない。CIOは、プログラミング・インタフェースやアーキテクチャの多様性に十分注意しなければならない。

“専用性”が道を拓く

 プーマは当初、アマゾン、コンピュータ・サイエンス、ラックスペース、スライスホスト(同社は現在ラックスペースの一部となっている)の4社と契約し、販売促進用のFlashベースのオンライン・ゲーム・サイトなど、さまざまなマーケティング関連プロジェクトをホスティングするクラウド・サービスの提供を受けていた。バスナイト氏の説明によると、同社は年に50近くのWebサイトおよびアプリを立ち上げているが、これらを実際に制作したマーケティング代理店が採用した仕様はそれぞれ異なっていたという。

 調査とテストを繰り返した結果、プーマはIaaS(Infrastructure as a Service)を提供しているユーカリプタス・システムズにたどり着いた。同社のIaaSサービスは、「プーマのITスタッフが、データやアプリケーションをよりよく管理するのを助け、さらにはパフォーマンスを安定させてくれる」と、バスナイト氏は述べている。

 ユーカリプタスは一般的なクラウド・ベンダーとは違い、プーマの企業データおよびアプリケーションを他社も使用する複数のサーバに分散させるのではなく、専用サーバ上で管理する方式を取っている。そのため、バスナイト氏は任意のデータが保管されているサーバをピンポイントで指し示すことができ、必然的にプライバシー監査が容易になったという。

 「見知らぬ誰かとインフラを共有せずに済むので、心が非常に休まる」(バスナイト氏)

 同氏はまた、アプリケーションをユーカリプタスのサーバへ移したことで、プーマのシステムの全体的なパフォーマンスが15~30%向上したと述べている。これは主に、サーバ・コンフィギュレーションの改善が生み出した成果だそうだ。さらに、クラウドの統合は“大金”の節約にもつながった。以前より有利な契約条項やスケールメリットのお陰で、1時間当たり50%ものコスト削減が実現したのである。

 こうした統合によって、複雑だったプーマとマーケティング代理店とのかかわり方もシンプルになった。統合前は、代理店がアプリケーションもしくはWebサイトの詳細な計画を立て、すべてを異なる言語でコーディングし、成果物をプーマおよびプーマのクラウド・プロバイダーに渡して運用を任せていた。ところが今では、プーマが代理店にガイドラインを配布して、単一のプーマ専用クラウドをどのように使用するべきかを提示している。「これが開発とサポートを簡略化してくれた」とバスナイト氏は語る。

 ハーディング氏によれば、APIおよび仕様はクラウドごとに異なり、そのことがクラウド・プロバイダー間でデータを移動させるときに障害となる場合があるという。クラウド・コンピューティングのメリットである動的なスケーラビリティを最大限活用するため、アプリケーションには多種多様なAPIが使われ、別のシステムにも接続して必要なコンピュータ処理能力の増減に対応する工夫がなされている。

 しかし、各クラウド・プロバイダーがそれぞれ異なるAPIをサポートしていると、結局はIT部門がそうしたインタフェースを書き直さなくてはならなくなる。ハーディング氏はこれについて、「しばしば見過ごされがちだが、非常にやっかいな問題だ」と注意を促した。

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