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クラウド・コンピューティング

クラウドはアウトソーシングの代替用語ではない

サーバを1時間12セントで購入できる時代のIT運営

2011/06/21

現時点ではきわめて負荷の大きな作業にのみ使用されているコンピューティング処理能力が、いずれは医療分野や小売分野といった日常的な場面で活用される日がやってくる。企業もアプリケーションやストレージに関する認識を抜本的に改めていかなければならない。

ティモシー・チャウ ● text by Timothy Chou

クラウド時代のCIOはより賢くより専門的に

 クラウド・コンピューティングは、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)やSaaS(サービスとしてのソフトウェア)、アウトソーシング、あるいは(筆者のようにあまり若くない世代にはなじみのある)タイム・シェアリングなどの単なる言い換えにすぎないと考えている人は少なくない。確かにクラウドは、このようなサービスと同じ原則に則っている。だが、現在実際に起こっているのはもっと意味のあることだ。メインフレームからクライアント/サーバへの世代交代と同程度の影響を持つ、重要な推移が見られているのである。
 筆者は2008年、北京の精華大学でクラウド・コンピューティングに関する一連の講義を行った。このとき、アマゾンが学生たちに3,000ドル分の処理時間が与えた。講義初日、私は学生に「3,000ドルあればアイルランドやバージニア、あるいはカリフォルニアで、サーバを3年半利用できる」と説明した。それでも学生はピンとこないようだったので、次に「同じ3,000ドルで1万台のサーバを30分間使用することができる」と言ってみたところ、彼らは真顔になった。こんなことは過去に誰も実現していない。もっとも、1万台のサーバがあったとして一体何に使うのだという疑問はあるだろう。しかし、すでに何千台ものサーバが腫瘍の診断やリスク分析、負荷テストなどの目的に使用されている。いつかはこの莫大な能力がより実際的なサービスに用いられ、医療や小売り、自宅の改築などより身近な情報提供に利用できるようになるはずだ。
 ほかにはどのような可能性があるだろうか。アプリケーション面では、まだまだ開発の余地がある。アメリカン航空の「SABRE(Semi-Automated Business Research Environment)」(コンピュータ座席予約システム)プロジェクトのように、読者の会社からも新たなアプリケーションが生み出されるかもしれない。コンピューティングやストレージに関しては、ロケーションやセキュリティ、あるいはパフォーマンス特性別のクラウド・サービスがいずれ実現されるのは間違いないと思われる。今日利用できるコンピューティングおよびストレージ・サービスは決して多くないが、ハードウェア専門カタログを見れば何百ものサーバやストレージが掲載されているように、クラウドにも同じことが起こるのではないだろうか。現在のクラウドは、コンピューティングやストレージ・サービスが一部の少数の国々から提供されているのが現状だ。だが今後はカナダやメキシコ、インドや中国もクラウド市場に参入してくるだろう。クラウド事業者がセキュリティを強化するなか、特定の場合は二要素認証を導入するなど、より高度なサービスの提供等も期待される。
 ではこのような変化において、CIOは何をすべきだろう。
 答えは、より賢くより専門的になることだ。 
 クラウド・コンピューティングの専属部署を立ち上げ、スペシャリストをデータセンター、コンピューティング・ストレージ、プラットフォーム・アプリケーションなどのクラウド・サービス担当として配属する。クラウド・アプリケーションの専門家には、全法人向けアプリケーションの一覧表を作成させ、ベンダーにアプリケーションを管理させよう。 
 また、株式会社、私企業の別を問わず、さまざまなベンダーが提供するサービスに対してもアンテナを張り、新たな開発に利用する。セキュリティやアベラビリティ、ポートフォリオの管理に際しては、法人向けアプリケーションと同様、クラウドが利用するプラットフォームも導入を検討してみてほしい。サービスとして購入できるのに、スパム・フィルタリング・ソフトウェアを稼働させるのはナンセンスだ。 
 データセンターのクラウド・サービス専門家には、コスト削減や地球温暖化の観点からより効率的な電力利用の知識を持ってもらう。またストレージのスペシャリストには、既存サービスやビジネス・モデルについて知恵を絞らせる。スポット料金を説明させ、その導入の意義を説けるようにすることも重要だ。これらの説明が十分納得できるものであれば、プライベート・クラウドの開発を検討する。その上で時間ごとのサービス使用料を設定し、同業界あるいは地域の企業にサービスを販売する。最後に、検索分野も熟知しておくべきだ。社内に“SQL博士”はいても、検索の達人はなかなか見つからないのではないだろうか。メインフレームからクライアント/サーバへの移行を経験した世代は、そこで得た教訓を将来に生かそう。こうして見ると、一からすべて立て直す準備は万端整っているのである。

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