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エンタープライズ・クライアント

“私物IT”の持ち込みを成功させる9つのヒント(前編)

コスト削減や企業文化の変革、社員のモチベーション上昇などメリットは多種多用

2012/01/16

クラフト・フーズやワールプール、モトローラ・ソリューションズモトローラ・ソリューションズなどの企業は、他社に先駆けてBYOT(Bring Your Own Technology)を実践し、生産性向上やコスト削減を実現している。本稿では、社員がBYOTの導入を求める理由と、BYOTを成功させるためのヒントを紹介する。

キム S.ナッシュ ● text by Kim S. Nash

職場でますます活躍するコンシューマーIT

 私物の端末を業務に使うBYOT(Bring Your Own Technology)が関心を集めている。ここで言うBYOTとは、CEOが業務に「iPad」を使うことにとどまらず、デスクトップPCからノートPC、スマートフォン、タブレットに至るまで、仕事に使うあらゆる端末を社員自身に選ばせ、購入させる戦略を指す。端末の所有権は社員に帰属するので、転職後も同じ端末をそのまま使い続けることができる。

 BYOTの実践は、ビジネスにおいてコンシューマー向けITを活用する土台作りにつながる。BYOTを導入しているCIOが目指しているのは、コストを削減し(BYOTが大幅なコスト削減に役立つかどうかは議論の余地があるが)、IT担当者とビジネス担当者の間に密接な協力関係を築くことだ。また、両者の生産性向上に期待を寄せるCIOも多い。BYOTを導入すれば、IT担当者は一部のサポート作業から解放されるし、プライベートと同じ端末を使用できるビジネス担当者は、従来のように数多くのトレーニングを受けなくて済むからだ。

 さらに、IT部門のお仕着せではなく、自分に合った端末を使いたいという社員の要求に応えれば、彼らのモチベーション・アップにつながると米国モトローラ・ソリューションズのCIOであるレスリー・ジョーンズ氏は指摘する。同社は2008年から社員の私物スマートフォン1台に対し会社負担金を支給し、その端末の業務利用を認めている。ジョーンズ氏によると、同社がBYOTを導入したのは「現状を正しく認識した結果」なのだという。

 一方、BYOTには何のメリットもないと考えるCIOもいる。コスト削減どころか、ITのセキュリティや統制に関する問題を生み出し、甚大な金銭的被害をもたらすおそれのある空虚なアイデアだというのが彼らの主張だ。実際のところ、BYOTを全面導入している企業は依然として少数派にすぎない。CIO Magazine米国版が476人のITリーダーを対象に実施した調査によると、私物端末の業務利用を禁止している企業は69%に上り、許可しているのは24%にとどまった。

 より深くBYOTを実践している131社を見てみると、その大半は業務利用する端末について推奨リストを提示しているものの、実際の選択は社員個人に委ねている。使用許可を特定端末に限定しているのは22%のみで、38%は端末の選択を完全に社員に任せている。

 BYOTを導入している先進的なCIOが悩まされているのは、「テクノロジーやポリシーに関する意思決定が一筋縄ではいかない」「BYOTがもたらす真の価値を測定することが困難」といった問題だ。そもそもBYOTは業務の合理化を目的とした取り組みであるのに、それを規則でがんじがらめにしたり、BYOTが原因で煩雑な作業が増えたりするのでは本末転倒である。加えて、社員が端末選択の自由を求めるようになったのは、機能や使い勝手の面でコンシューマー向け端末が企業向け端末を上回ったためという事情もある。モバイル・ワーカーは、業務用とプライベート用に別々の端末を持ち歩くことにうんざりしているのだ。例えば、年商184億ドルの家電メーカー、米国ワールプールのグローバル情報システム担当ディレクターを務めるダレン・フェアフィールド氏は、社員が私物よりも性能の劣る端末で仕事をするようなことがあってはならないと考えている。
 


食品メーカー大手の米国クラフト・フーズCTO、マイク・カニンガム氏は、BYOYポリシーが社員の生産性を向上させ、仕事と私生活のバランスを取りやすくすると述べる。

 BYOTを適切に実践できれば、IT部門の管理が行き届く範囲で、社員のプライベートと仕事をうまく融合させることが可能になる。ただし、何を管理下に置き、何を社員の裁量に任せるかは、綿密に策定された計画と体系的な運用試験に基づいて判断する必要があると、食品メーカー大手の米国クラフト・フーズでCTOを務めるマイク・カニンガム氏は語った。

 また、会社支給の端末に関する一般的な規定の中にもBYOTに適用できる項目がある。「業務に使う端末で、ギャンブルやポルノなどを扱う危険性の高いWebサイトを閲覧してはならない」といった種類のルールだ。しかし、BYOTでは、オフィス外でも使用される会社支給端末についての常識的な規定以外にも、細かな部分で別の配慮が必要となる。ここからはそうした実践のための9つのポイントを紹介しよう。

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