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エンタープライズ・クライアント

BYOT導入の肝は「肯定」にあり

社員は私物を仕事に使える、IT部門は煩雑な管理業務から解放される ―― 一挙両得の戦術

2012/01/19

業務に使う端末を利用者自身に購入させ、IT部門の負担軽減とコスト削減を実現した弁護士事務所の内幕をのぞいてみよう。

ローレン・ブラウセル ● text by Lauren Brousell

景気後退とIT部門の人員削減がBYOTのきっかけに

 BYOT(Bring Your Own Technology)の実践にあたりダグ・カデル氏が心掛けているのは、“肯定”を原則とする取り組みだ。米国を本拠とする法律事務所フォーリー&ラードナーのCIOを務める同氏は、弁護士が自分の好きな端末を選んで使えるようにするために、3,800ドルのテクノロジー手当を3年ごとに支給している。ただし、同氏が展開するBYOTプログラムの特徴は、この手当にとどまらない。

 業務に使う端末を弁護士自身に購入させようとカデル氏が決断した主な理由は、景気後退とIT部門の人員削減だ。しかし、各自が端末の購入費用を必要経費として請求してくるのでは、その処理に余計な手間と費用がかかってしまう。そこでカデル氏は、Webアプリケーションを構築し、利用者が自らBYOTプログラムに参加して自身のアカウントを管理できるようにした(なおフォーリー&ラードナーは、このBYOTプログラムとWebアプリケーションを評価され、2010年の「CIO 100 Award」を受賞している)。プログラムに登録すると、業務利用のために購入した端末の領収書をオンラインで提出できるようになる。この購入代金は、各自に割り振ったテクノロジー手当から差し引いて、給与の一部として払い戻される仕組みだ。同アプリケーションの開発費用は開発期間換算で1万2,000ドル、管理に必要な人員はわずか1人で済んでいるという。

 弁護士にできるかぎり選択の自由を与えるため、購入費用の手当額に上限を設けるだけで、利用する端末やサービスは自由に選べるよう配慮している。例えばノートPCやタブレット、スマートフォン、Wi-Fiサービス、ブロードバンド・サービスは好きな組み合わせを選んで使うことが可能だ。ただし、プリンターやモニターなどの周辺機器は対象外となる。

 「業務ネットワークに接続できるなら、どのような端末を使ってもかまわない。そうしたデバイスをユーザーの所有物とすればIT部門が煩雑な端末管理から解放されるし、テクノロジーの進化にも自然と追いついていける」(カデル氏)

 また、不況の影響で事務所のITスタッフが26%削減されたのを受け、カデル氏は職員により多くの自由と裁量を与え、日常業務、出張、そして私生活の最適なバランスを実現できるようにする必要性を感じていた。BYOTがIT部門にもたらした最大のメリットは、サポート業務に当てる時間が増えたことである。「端末導入前の準備や、その後の修理および保守などの運用管理作業が不要になる」(カデル氏)からだ。BYOTでは、端末の保守や修理はその所有者の責任となるので、カデル氏は端末の延長保証をプラスするよう弁護士に勧めているという。

 「延長保証の奨励は、プログラム契約書で強調している」(カデル氏)

 フォーリー&ラードナーのネットワークに接続されている私物の「iPad」は、現時点で400台ほどだ。これらの端末がセキュリティ問題を引き起こさないよう、カデル氏は詳細な契約書とポリシーを策定して各弁護士に署名させている。その中には、端末の紛失および盗難時に事務所がデータをリモート消去する権限を認めるという規定や、機密文書はシトリックスまたはヴイエムウェア製品を介してサーバに保存するよう義務づける規定が含まれているという。カデル氏は現在、アプリケーションのさらなる仮想化を進めている。

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