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エンタープライズ・クライアント

ダサいシステムなんていらない

PCが端末として使われ始めた時代とどう違うのか

2012/02/22

テクノロジーに詳しい現代のビジネス・パーソンは、IT部門が用意した据え置き型の情報システムになど見向きもしない。直感的なインタフェースから企業データにモバイル経由でアクセスすることこそ、彼らが望むスタイルなのだ。

アダム・ハートン ● text by Adam Hartung

 実のところ企業で働く人の大半が、会社で用意したノートPCや携帯電話を放置するようになっている。彼らが使いたいのは、見栄えがよく、持ち運び可能かつ直感的に操作できる個人向けのデバイスであり、時代遅れで扱いにくい、企業が認可したテクノロジーではない。

 筆者はこうした現状を、スウェーデンのERPベンダーであるIFSのCTO、ダン・マシューズ氏が見せてくれた最近の資料によって目の当たりにした。IFSは、製造会社で働く281名の管理職社員を対象にある調査を実施したという。同調査の結果を一言でまとめると、IT部門が提供した大規模かつ高価な情報システム(例えばERPやCRMなど)のインタフェースが使いづらい場合、彼らはこれを絶対に利用しないということになる。また、管理職社員が、iOSもしくはAndroidデバイスから情報システムを遠隔操作したいと考えている事実も明らかになった。

“迂回”される大規模システム

 IFSは若干の皮肉を込めて、『ERPとは“Excel Runs Production”(Microsoft Excelが製造を仕切っている)を意味するのか?』と題した資料を作成した。同資料によると、若年層を中心とした管理職社員の間には、大掛かりな情報システムの使用を避け、表計算ソフトやクラウド・アプリケーションを用いて仕事をする傾向が見られるそうだ。全年齢層の管理職のうち75%が、インタフェースの使い勝手が悪いとき、または単純に情報システムの使用を回避していることを認めた。

 IFSの調査は、社員個人の生活と職場においてソフトウェアが果たす役割が乖離している現状を浮き彫りにした。「Facebookやアマゾン、オンライン旅行サイトなど、完ぺきな直感性が実現されているオンライン機能を活用している人は、仕事の発注をかけたり、重要なデータを活用したりするのに情報システムを使用するという苦行を強いられるのが不思議でならないのだろう」と、同資料には記されている。

 さらに驚くことには、クラウド・アプリケーションの使用や個人デバイスと企業の情報システムの接続が禁止されているところには、オファーがあっても転職しないだろうと回答した管理職が非常に多かったという。これに加え、調査対象者の3分の1から3分の2(若年層ではさらに大きい数字が出ている)が、勤め先の企業ソフトウェアが使いづらいことが転職を検討する動機になりうると述べた。

 また、今日の管理職は、昔ながらの勤務時間とは異なる時間帯に働きたいと考えている。たとえ休暇中であっても、そうした願望は変わらない。すなわち、iPhoneやiPad、Androidベースのスマートフォンおよびタブレット端末から情報システムを利用できる必要があるわけだ。こうした管理職社員は、ノートPCを持ち歩かないのはもちろん、(アプリケーション不足も含めて)BlackBerryの限界にもストレスを感じている。

 昔であれば、こんなはみ出し者はIT部門の手痛いお仕置きを受けていただろう。現場からCIO、CIOからCEOと続く一本道の指揮系統に報告が入り、ハメを外してしまったマネジャーはすぐにIT部門が描いたとおりの業務体系の枠内へ引き戻されたはずだ。しかし今の時代、そういったはみ出し者はCOOだったり、CFOだったり、あげくの果てにはCEOその人だったりするケースも多い。CIOの同輩であるほかのエグゼクティブがまっさきに容易なアクセスを要求してくる中で、ITポリシーの順守に関して苦言を呈するのはまず不可能だ。

 企業のIT部門は、急激な市場の変化に直面している。テクノロジーを提供する唯一の存在として利用者に対し振るうことのできたかつての力は、あっという間に弱まってしまった。にもかかわらず、ITには高価な情報システムからビジネス価値をしぼり出す使命がいまだに課せられている。IT部門がすぐにでも新たなサービス・レイヤーを展開し、ユーザーの欲する形で情報システムへアクセスできるようにしなければ、CIOは社内ITの利用率低下や予算カットといった憂き目にあうだろう。

 現代企業社界の“勝ち組”は、モバイル経由での使用や利便性を追求し、情報システムへの多様なアクセスを可能にすることにより、会社のパフォーマンスを向上させている。自社のIT部門がこの流れに素早く乗れなかった場合は、よりスマートなライバル企業にどんどん差をつけられると覚悟しておくべきだ。

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