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サプライチェーン・システムの活用で会社存続の危機を乗り切ったインペリアル・シュガー

製糖工場の事故で生産機能の大半を喪失。需要や在庫、生産能力、注文状況を素早く把握できたことが迅速な業務再開の決め手に

2010/05/28

製糖会社の米国インペリアル・シュガーは2008年、自社工場での爆発事故により突如、生産能力の大半を失った。だが、その数年前に導入していたサプライチェーン・システムのおかげで、在庫状況や注文状況などを的確に把握し、可能な限りの注文に対応することができた。

ステファニー・オーバビー ● text by Stephanie Overby

悲劇は突然訪れる

 2008年2月のある晩、インペリアル・シュガーのCIO、ジョージ・マラー氏は、その電話を受けるまではいつもどおりの木曜の夜を過ごしていた。受けた電話の内容は、「事故が起き、けが人が出た」という知らせだった。氏は当時を振り返り、「死者も出ていた。詳細が明らかになればなるほど、恐ろしい事態だった」と語る。

 同社のジョージア州ポートウェントワースの製糖工場で爆発事故が起きてからの数日間、CEO(最高経営責任者)のジョン・シェプター氏は幹部らに対し、頭ではなく心で判断して行動するよう指示を出したという。何よりも優先すべきは、事故に巻き込まれた従業員とその家族の支援だった。だが一方で、年商5億2,200万ドル、米国第3位のこの製糖会社には、顧客に対する責任もある。この爆発事故により、同社は一夜にして生産能力のおよそ60%を失い、工場をいつ再開できるかわからず、そもそも再開可能かどうかすら不明だった。

 インペリアル・シュガーはそれまでにも、破産や子会社の売却、経営陣の入れ替わりなど、いくつかの難しい局面を切り抜けてきていた。だが、このポートウェントワースでの悲劇は、マラー氏が直面した中で最も厳しい難局だったという。

 「製造業で、自社の事業にあれほどの痛手を負いながら持ちこたえ、生き残れる企業はそう多くはないだろう」(マラー氏)

 ポートウェントワースの製糖工場は事故から1年半以上にわたり、操業停止の状態が続いた。マラー氏は、「我が社には、緊急時用の備蓄が一切なかった。だが、我々はできる限り多くの注文をこなせるよう奔走した」と回想する。

 砂糖は、メキシコの製糖会社インヘニオス・サントスとの合弁事業を通じて、ある程度の量は輸入できたが、それだけでは足りなかった。そのため、「多くの顧客に迷惑をかけてしまった」(マラー氏)という。そんな氏が、「利用できるリソースを最大限に活用するうえで役に立つ」と高く評価しているのが、サプライチェーン・システム、その中でも特に需要管理ソフトウェアだ。

需要予測/管理の重要性


マラー氏は「需要管理ソフトは、注文と在庫情報をつなぐサポートをしてくれる」と語る Photo by Milton Morris

 インペリアル・シュガーは1998年、20あまりのビジネス・プロセスを管理すべく、ベスト・オブ・ブリード型のソフトウェアの代わりに、ピープルソフト(現オラクル)のオール・イン・ワン型のERPシステムを導入した。その後、何度かのアップグレードを経て明らかになったのは、この需要管理ツールでは、同社のビジネスの複雑な側面を扱いきれないということだった。例えば、大手の食品飲料企業と年間契約を交わす際、インペリアル・シュガーは季節サイクルや消費者サイクルに基づき、需要がどのように推移するかを予測しなければならない。

 「サプライチェーンは、我が社のビジネスの要だ。我々にとっては、その部分こそが差別化要因になる。顧客が戻ってきてくれたのも、そのおかげだ」(マラー氏)

 そこで同社は2006年、デマンド・フォーサイトが提供するボルトオン型のソリューションを追加した。これは、基本的には需要が時間とともにどのように変化するのかを学習するソフトウェアだ。同社はこのツールのおかげで、さまざまな要因が需要に及ぼす影響を確認したり、変化に迅速に対応したり、業績を追跡したりできるようになった。

 製糖工場の爆発事故後、インペリアル・シュガーは在庫分でどの程度までの注文に応えられるかを速やかに確認する必要があった。その際、同社はこのソフトウェアを使うことで、製品ラインごとに状況を把握し、また納期確認(Available to Promise)機能により、生産部門から販売部門に至るすべての関係者が注文対応状況をリアルタイムに確認することができた。

 マラー氏は、このデマンド・フォーサイトのソリューションに投じたコストについては明言せず、「ピープルソフトの最後のアップグレードと実装にかかった570万ドルと比べれば、ごくわずかな金額だ」と述べるにとどめている。

 「我々にとっては、このシステムが唯一の救いだった。このシステムのおかげで、需要や在庫、生産能力、新規注文を把握し、状況を総合的に判断することができたのだ。すべての注文には応えられなかったが、それでもこのツールなしでは対応できなかったであろう数の注文に応じることができた」(マラー氏)

 ポートウェントワースの製糖工場は、昨年9月にパッケージング工程を再開し、現在は4ポンド(約1.8kg)の砂糖袋を毎分125袋のペースで生産している。「事故から1年半以上を経て、ようやくトラックへの荷積みが再開されたことを知ったときは、あの悲劇を何とか皆で乗り越えられたことをチームの一員として本当に誇りに思った」――現在、同社の管理経営担当副社長を務めるマラー氏は、感慨深げにそう語った。

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