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IT部門改革に未来を託すファイザー(後編)

多様性を求める世界最大の製薬会社が打った一手とは

2012/02/15

従来のビジネス・モデルを維持するのが難しくなった製薬大手ファイザーでは、一般消費者向けには会員ディスカウント・カードやモバイル・アプリケーション、医師向けにはクラウド・ベースのタブレットCRMシステムを提供し展開するなど、新たなIT活用策に取り組んでいる。

キム S. ナッシュ ● text by Kim S. Nash

新興市場への参入

 膨大な人口を抱え急激な経済成長を遂げる中国は、今後ビジネスの中心地になると言われている。実際、中国を中心とするアジアの成長ぶりは目を見張るものがある。コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、アジア諸国は、2007年の都市部GDPのランキングで上位50か国に8か国がランクインしていたが、2025年までには20か国を占めるようになるという。また、同じくコンサルティング会社のIMSインスティテュート・フォー・ヘルスケア・インフォマティクスは、2010年に410億ドルだった中国の医薬品市場の規模は、2015年までに約3倍へと拡大し、少なくとも1,150億ドル規模に成長する見込みだと述べている。ファイザーも、この巨大市場で大きなシェアを獲得するべく準備を進めている。

 これに対し、調査会社のフォレスター・リサーチで主席アナリストを務めるボビー・キャメロン氏は、新興市場への野心的な参入計画をIT部門が支援する場合は、自国の場合とは違うやり方を採用すべきだと助言した。

 キャメロン氏によると、スタッフは米国から派遣するのではなく、現地の人材を雇ったほうが職場環境は安定するという。ただし、プログラマーやネットワーク・エンジニアなどの実務型ITプロフェッショナルについては、中国国内にも十分な数がいるので人材探しに困ることはないだろうが、マネジャー職についてはそうもいかないとキャメロン氏は説明する。また、資本主義の視点を持ったマネジャーがいないと、現地法人の運営が行き詰まる可能性も出てくる。そのためキャメロン氏は、現地の大学と提携して、そのような資質と必要な経験を持った大学院生や教授を紹介してもらうよう推奨する。

 実際にケイスリング氏は、中国国内で人材を募集した。中国でビジネスを展開する場合の注意点や同僚とのつきあい方を心得た社員を採用した結果、中国人スタッフの離職率を5%未満に抑えることができたという。

 また、本社のマネジャーとの定期的な連絡も重要だとケイスリング氏は指摘した。同氏は、約4,000人の社員が勤務するペンシルバニア州コレッジビルのオフィスに執務室を残しており、定期的にニューヨークの本社へ出向いたり、世界各国のスタッフと電話会議を行ったりしている。「不安定な時代にはコミュニケーションが一層重要になる」と同氏は語った。

 「各国のスタッフは、現地レベルでファイザーのビジネス全体にかかわっているという意識を持っている。中国事業についても、単なるサポート役という意識ではなく、2桁成長を実現できるよう自分たちも貢献していると考えているのだ」(ケイスリング氏)

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