コロケーション・サービスを利用してみよう
2011/11/08ついに限界が来た――設計および立地上の問題からデータセンターの設備を思うように拡張できず、可用性維持と事業継続のために運用しているシステムの機能や性能をこれ以上増強できなくなったことを悟ったIT責任者は、どのように苦境を切り抜けたのか。前編では、コロケーション・サービスの特徴やメリット、プロバイダー選定のコツなどを紹介した。
ジョン・エドワーズ ● text by John Edwards
遅延問題を解消したい
データセンター増設の動機として他によく挙げられるのは、遠隔地にいる社員や顧客、その他エンドユーザーがアプリケーションを利用する際の応答速度の向上だ。ショッピング・サイトや旅行サイト、金融サービス、ビデオ会議システム、コンテンツ配信システムなど、遅延の影響を受けやすいネットワーク・アプリケーションは、応答速度を高めるためにできるだけエンドユーザーの近くに配置することが求められる。データセンターを2カ所以上に分散させれば、異なる地域や大陸に散在するユーザーにも効率よくアプリケーション・サービスを提供できるようになる。
米国北東部のオハイオ州デイトンに本拠を置くリーガル・リサーチおよびワークフロー・サービス会社レクシスネクシスは2009年、コロケーション・サービスを利用したデータセンターをアリゾナ州スコッツデールに開設する決定を下した。嵐や地震など自然災害が比較的少ない地域から、高品質な顧客サービスを提供するためだ。「米国の西部地域にデータセンターを構える必要があると感じていた。拠点探しは立地重視で行った」と、同社のマネージド・テクノロジー・サービス担当バイスプレジデントを務めるテリー・ウィリアムズ氏は語る。同社はこの当時、すでにデイトンにもデータセンターを保有していた。
ネットワークの可用性とパフォーマンスの向上が、新データセンターの拠点を探すにあたり同社が最も重要視していた点だという。
「私達が求めていたのはネットワークの接続品質のレベルアップだった。この点について妥協をするわけにはいかなかった」(ウィリアムズ氏)
サービス品質向上のため、エンドユーザーの近くにデータセンターを構えようと考える企業は少なくないと、インフォテック・リサーチ・グループのデータセンター担当アナリスト、ダリン・シュタール氏も指摘している。
「分散化という現在の大きなトレンドが、何らかの理由でデータセンターを増設しようとする企業を後押ししている」(シュタール氏)
ウィリアムズ氏が利用したコロケーション・プロバイダーはアリゾナ州フェニックスのアイオー・データセンターズだが、同氏はサービスや利便性について妥協する必要は一切なかったという。
「予備電源や発電機といった設備やネットワーク回線については、ハイティア・データセンターが通常備えているレベルを求めていたが、期待どおりのものがそろっていた」(ウィリアムズ氏)
米国サウスカロライナ州シンプソンビルに本拠を置くコンデンサ・メーカー、ケメットの上級ワールドワイド・インフラストラクチャ担当ディレクターであるブライアン・バーチ氏も、少なくとも自身の事例については、コロケーション・プロバイダー(サウスカロライナ州コロンビアに本拠を置くイメディオン)を利用したことで通常より早く、かつ安くデータセンターを構築できたと感じている。しかも、利便性や機能性を犠牲にすることもなかった。
「当社の場合、2カ月ほどですべての作業が完了した。オフィス・スペースを増設し、一部を上げ床のデータセンター・スペースに改装した手間を考えると、驚くべき早さと言えるだろう」(バーチ氏)
しかし、自社に最適なコロケーション・プロバイダーを見つけようとすると、自前のデータセンターに絶好の拠点を探す場合と同じくらい苦労する場合もある。ウィリアムズ氏は当初、ふさわしいビルを探してデータセンターに改修するプランを考えていた。しかし、ビルを丸ごと改修するのは費用効果的に得策ではないと分かり、コロケーション・プロバイダーを探し始めた。
「拠点探しには6カ月ほど費やしたと思う。実際に検討した拠点やプロバイダーは恐らく30を下らない。理想的な拠点を見つけるには、これだけの調査を行う必要があった」(ウィリアムズ氏)
希少化するデータセンター・スペース
また地域によってはコロケーション・スペースが希少化し、利用料金が割高になっているケースもある。ティア1リサーチのパシュケ氏によると、その原因は、不況とそれに続く信用収縮によりデータセンター施設の増設が停滞したことにある。コロケーション・プロバイダーによる投資が伸び悩んだだけではなく、企業各社によるデータセンター拡張計画も大半が棚上げになった。そのため現在では、コロケーション・サービスを利用したいと思っても、十分なデータセンター・スペースを確保できないことがある。
もちろん、個々の状況は地域によって大きく違う。例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルの最近の記事によると、ニューヨーク州やニュージャージー州などの大都市圏では、データセンター・スペースは供給過剰の状態にあるそうだ。一方、多くのアナリストは、主要地域ではコロケーション・スペースが供給不足を起こしていると指摘している。
これは実に重要な問題だ。というのも、いつでも現場に行けるようにセカンダリ・データセンターをプライマリー・データセンターの近くに設置したいと考えるIT担当者がいるからである。ほとんどのデータセンターでは、多くのシステム管理作業を自動化しようとしているにもかかわらず、ティア1リサーチの上級アナリストであるジェフ・パシュケ氏が言うところのこれら「サーバ保護主義者」は、できるだけサーバの近くにいてサーバに触れていたいと考えている。データセンター・スペースが供給不足となっている地域にプライマリー・データセンターを構えている場合、近隣にコロケーション・スペースを見つけるのは難しいかもしれない。
コロケーション・サービスを利用する際は、プロバイダーに求める条件の明確化も重要となる。例えば、サービスの応答速度向上に役立つ広帯域回線や、きめ細かなSLAが欠かせない場合もあるだろう。また、通信事業者の障害発生時に備えて、複数の事業者の回線を利用できる態勢が必要な状況も想像できる。逆に、細かい条件にはこだわらないという利用者もいるようだ。テレコム市場に特化したリサーチおよびコンサルティング会社の米国テレジオグラフィー・リサーチで上級アナリストを務めるジョナサン・イエンボ氏は、「コロケーション・サービス利用者の中には、ミリ秒単位の性能など細部を気にしないユーザーもいる」と話した。
「サービスに対するニーズは、顧客によってまさに千差万別。そしてこの多様性こそが、市場の拡大を牽引している」(イエンボ氏)
その他の考慮事項としては、セキュリティ対策(物理的なセキュリティとITセキュリティ)と電源や空調、消火システムなどの基本設備が挙げられる。また、今後数年の間に想定されるスペース・ニーズに対応できるかどうかなど、将来的な要件をコロケーション・プロバイダーに確認しておくことも大事だ。もちろん、費用分析も怠ってはならない。
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