オフショア・モデルの先駆者
サティヤムのバンガロールでの重要拠点である開発センター。開発系スタッフをはじめ約3,000人が業務にあたっている。
近年、インド国内でもバンガロールに迫る勢いで発展を遂げているハイデラバード。同地を代表する企業が、サティヤム コンピュータ サービス リミテッド(以下、サティヤム)だ。そんな同社にとって、ここバンガロールの開発センターは、世界の有名企業のシステム開発/運用保守を支援するODC(Offshore Development Center)が多数入居し、約3,000人のスタッフを擁する“開発部隊の要衝”である。
サティヤムの名は、世界で初めてオフショア・モデルを確立した企業として広く知られている。1992年、米国の農機具メーカー、ジョンディアからソフトウェア開発プロジェクトを受注した同社は、まずは米国シカゴ近郊でサービスを開始。地理的に離れた場所で開発を行っても問題がないことを実証したうえで、本格的にインドでのオフショア開発をスタートさせた。
「当社は、オフショアリングの経験がないユーザー企業との間でも、スムーズにプロジェクトを進めるノウハウを持っている」と、同社のリード・ストラテジック・アカウントのアナンダ・ムラリ氏は胸を張る。
製造業を軸に産業別ソリューションを強化
開発センター内に設けられた日立製作所のODC。インド人技術者が日立のアウトソーシング事業を支援している。
サティヤムの事業の中核を成すのが、全売上高の30%近くを占める製造業向けのサービスである。とりわけ自動車産業には強く、日本の日産自動車をはじめ、世界の大手企業の多くを顧客に持つ。近年では、開発からSCM(Supply Chain Management)、製造、販売、サポートに至るまで、バリュー・チェーン全体を支援するためのソリューション展開を強力に推し進めている。
例えば、スイスに本社を置くグローバル企業、ネスレとの間では大規模なアウトソーシング契約を結んでおり、同センター内に300人体制のネスレ専属のODCを設置している。ここから、世界4カ所のデータセンターにアクセスし、ネスレの基幹系システムの開発/運用をサポートしているのだ。
また、昨年には、日本の日立製作所との間でアライアンスを締結。こちらもネスレと同じく、バンガロールの開発センター内にODCを設置し、24時間/365日体制で日立のサービスを支援している。
そのほか、金融、通信、保険といった他業種向けのソリューション展開にも力を入れている。
積極的なグローバル展開
日本人講師による社員向けの日本語教室も積極的に実施している。
もう1つ、サティヤムが積極的に進めているのが、開発/サポート拠点のグローバル化だ。特にアジア・太平洋地域での活動は活発で、すでに中国の上海と大連、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどにセンターを開設済み。今後、さらにその数を拡大させていくという。
もちろん、その目的の1つには、日本企業に対するサービス提供力の強化がある。大連のセンターには日本語が話せるスタッフを多数配置し、インド国内でも日本人講師を招いての日本語教育を展開。今後は、日本と中国、そしてインドという“3極”の連携により、BPOも含めたかたちで日本企業を手厚くサポートしようというのが同社のビジョンだ。
昨年からは、日本企業のシステム環境を考慮し、メインフレーム向けのマイグレーション・サービスも開始した。はたして、日本市場でもオフショアリングの先駆者となれるか──その動向に注目が集まる。■
